BLOG
ブログ
ウエスト歯科クリニックブログ
過呼吸(呼吸困難感)の原因と対策
2026年11月2日
なぜ急に息ができなくなるのか
急に息が吸えなくなる、深呼吸しようとしても苦しい、このまま呼吸が止まるのではないかと感じる、といったような症状は、過呼吸(過換気)や呼吸困難感として現れます。
多くの場合、ストレス、不安、緊張が原因とされていますが、実際には、何もないときに突然起こったり、理由が分からない、というケースも少なくありません。
このような場合、呼吸そのものではなく、呼吸をコントロールしている仕組みに目を向ける必要があります。
呼吸は自動で調整されている
呼吸は、自分で意識して行うこともできますが、基本的には無意識にコントロールされていて、この調整を行っているのが、脳幹と自律神経です。
意外と知られていないのですが必要な酸素量、二酸化炭素の濃度、身体の状態をもとに、呼吸の深さや速さが決まっています。
つまり呼吸は、意思ではなく神経によって決まっている機能といえます。
過呼吸は「異常な呼吸」ではない
過呼吸は、単に呼吸が速くなる状態ではありません。本来は危険な状況で起こる「防御反応」です。 しかし、危険がないのに、危険と判断してしまうことで、過剰な呼吸反応が起こります。自律神経の急激な変化
過呼吸が起こるとき、身体では交感神経が急激に優位になります。
その結果、呼吸が速くなり、息が浅くなって、酸素と二酸化炭素のバランスが崩れるのです。
スタンフォード大学やチューリッヒ大学の研究でも、呼吸パターンは自律神経と密接に関係していることが示されています。
なぜ突然起こるのか
ここで重要なのが、神経の過敏状態です。 神経が敏感になっていると、わずかな刺激でも強い反応が起こります。 そうなると、問題のない状態でも呼吸が乱れるようになります。身体からの入力が影響する
神経の状態は、心理だけで決まるものではありません。身体からの入力も大きく影響します。
もし身体のどこかに持続的な違和感や負荷があると、その情報が脳に伝わり続けます。
その結果、脳は常に警戒状態になりやすくなります。
見落とされやすい「噛み合わせ」
その中で重要なのが噛み合わせです。
噛み合わせがズレると、顎関節に負担がかかり、その刺激が三叉神経を通じて脳幹に伝わります。
そして、三叉神経は、呼吸中枢にも近い領域に影響を与えます。
過呼吸とのつながり
顎関節からの入力が増えると、脳幹は常に情報処理を行う状態になります。 この状態では、呼吸のリズムが乱れて、過剰に呼吸が促進されて、息苦しさを感じやすくなるのです。なぜ過呼吸は、怖くなるのか
過呼吸は、身体の変化が非常に強いため、このままどうにかなるのではないか、という恐怖を伴います。
そして、この恐怖がさらに神経を刺激し、症状を強めるという悪循環が起こります。
呼吸法だけでは改善しきれない理由
過呼吸に対しては、ゆっくり呼吸するとか、紙袋法、リラックス法なども用いられます。 これらは発作時の対応としては有効ですが、神経の過敏状態が変わらなければ、再発する可能性があります。トータルヘルスケアプログラム®の考え方
トータルヘルスケアプログラム®では、過呼吸を「呼吸の問題」ではなく、神経の過敏状態と入力の問題として捉えます。
噛み合わせ、顎関節、姿勢を総合的に評価し、神経への負担を整えます。
その結果、呼吸が自然に安定する状態に導きます。
過呼吸は「身体からの警告」
過呼吸は異常ではなく、神経が過敏になっているとか、身体が警戒状態にあるというサインです。最後に
もし過呼吸が繰り返し起きているのであれば、「呼吸をどうするか」ではなく、なぜその状態が起きているのかという新しい視点が重要です。
その中で、これまで見落としていた要因に気づくことが、改善への大きなきっかけになるのです。
参考文献
- Ley R(Rutgers University) Hyperventilation syndrome
- Feldman JL(UCLA) Neural control of breathing
- Porges SW(Indiana University) Polyvagal theory
- Benarroch EE(Mayo Clinic) Autonomic nervous system
- Craig AD(University of Arizona) Interoception