無呼吸症候群の治療とは?
2026年10月12日
眠りを取り戻すためにできること

結論 をいいます
無呼吸症候群の治療は、いびき、を止めることではありません
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が何度も止まり、体が慢性的な酸素不足に陥る病気といわれています。
放置して悪化すると、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中など命に関わる疾患を引き起こすことが知られています。
つまり治療の目的は、単に、いびきを止めることではなく、心臓や脳を守って、人生の質つまり、QOLを取り戻すことになるのです。
そのために必要なのは、原因、重症度、生活習慣、体型に応じて最適な方法を組み合わせることになります。
まずは、生活習慣の見直し
意外かもしれませんが、治療の最初の一歩は薬ではありません。
体の状態や生活のリズムを整えることこそ、治療の土台になるのです。
体重のコントロール
肥満は無呼吸症候群の最大のリスク要因といわれています。
具体的には、首や舌の付け根に脂肪がつくと、気道が狭まり呼吸が止まりやすくなります。
体重を10%減らすだけで、無呼吸の回数が約30%減少したという研究もありますから、急激な減量ではなく、食事と運動を少しずつ見直すことが効果的になります。
飲酒と喫煙の見直し
就寝前のお酒は、舌や喉の筋肉をゆるめて、気道を塞ぎやすくします。
寝酒でよく眠れる、と思っている人もいますが、実際には逆効果です。
また、喫煙は気道の粘膜を腫らせるため、無呼吸を悪化させる原因になるので、止めることが必要となります。
睡眠姿勢
例えば、仰向けに寝ると舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。
横向きに寝るだけで無呼吸が軽減することがありますから、軽症例では有効といえます。
医科での主な治療法として

CPAP療法(シーパップ)
最も一般的で効果の高い治療がCPAP(持続陽圧呼吸療法)です。
鼻にマスクを装着し、空気を一定の圧力で送り込んで気道を開き続ける仕組みです。
重症例では第一選択の治療とされて、これをすることによって、日中の眠気が軽減して、血圧や心血管リスクが下がることが確認されています。
ただし、欠点としては、毎晩マスクをつける必要があり、慣れるまで時間がかかることがあります。
乾燥感や違和感がある場合は、加湿器付きの装置などを使用することで、その負担を軽減することができます。
外科的治療
扁桃肥大やアデノイド、鼻中隔の湾曲、口蓋垂の形態異常などの構造的な問題が原因の場合は手術が有効といわれています。
特に子どもでは高い効果が見らると言われており、成人でも適応によっては改善が期待できます。
歯科からのアプローチとして

オーラルアプライアンス療法(マウスピース)
軽症〜中等症の方に有効な方法で、下顎を前方に固定する特殊なマウスピースを装着します。
これにより舌の位置が前方に移動し、気道が広がるため呼吸がしやすくなるのです。
ある研究では、無呼吸指数(AHI)が平均で50%以上改善したという報告もあります。
CPAPより装着が簡単で、旅行などにも持ち運べる利点があるのですが、歯や顎関節に負担がかかることもあるため、歯科医による定期チェックが必要となります。
噛み合わせの改善
歯の喪失や噛み合わせのずれによって顎の位置が後方に下がると、気道が狭くなりやすくなることが知られています。
入れ歯やインプラント、咬合調整で顎位を整えることで、呼吸の改善につながる可能性があります。
無呼吸と全身の健康

無呼吸症候群は眠りの病ではなく、全身の病なのです。
呼吸が止まることで酸素不足が続くと、血圧が上がって、心臓、血管、脳に負担がかかってしまいます。
実際に、治療を続けることで高血圧や糖尿病のコントロールが改善して、認知機能や気分障害にも良い影響を与えることがわかっています。
つまり、この治療は、よく眠るためだけでなく、健康寿命を延ばすための治療でもあるわけです。
治療を続けるためには
ただ、CPAPを毎晩使うのが難しい人、マウスピースに慣れない人も少なくありません。
大切なのは、自分に合った治療法を見つけることなのです。
医科と歯科が連携し、ライフスタイルや症状に合わせた最適な治療を選ぶことが、長く続けるうえで最も重要と考えています。
呼吸と未来を取り戻す

無呼吸症候群の治療は、夜のいびきを止めるだけでなく、心臓や脳を守り、寿命を延ばし、日々の集中力や気力を取り戻すための治療になります。
ウエスト歯科クリニック、玉川中央歯科クリニックでは、「噛み合わせ」「顎の位置」「姿勢」「呼吸」のつながりに注目して、
根本的な原因から睡眠の質を改善するトータルヘルスケアプログラム®を提供しています。
もし、眠りが浅い、朝起きても疲れている、日中の眠気が強い、と感じる方は、ぜひ一度ご相談ください。
呼吸を整えることが、健康な未来への第一歩となると確信しています。
コラムはウエスト歯科クリニックと玉川中央歯科クリニックで、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください
参考文献
- Lowe AA, et al. Cephalometric analyses of obstructive sleep apnea patients. Am J Orthod Dentofacial Orthop.
- Young T, et al. Epidemiology of obstructive sleep apnea: a population health perspective. Am J Respir Crit Care Med.
- Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnea-hypopnea. Lancet.
- Sutherland K, et al. Oral appliance treatment for obstructive sleep apnea: an update. J Clin Sleep Med.
- 日本呼吸器学会『睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン』
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
▶︎Dr. RyoのYouTubeはこちら
▶︎Dr. Ryoのプロフィール




