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なぜ、腰痛が歯科治療で良くなるのか?

2025年12月2日

みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。今回のテーマはこちらです。

なぜ、腰痛が歯科治療で良くなるのか?

腰痛は、日本で80%の人が一度は経験する疾患であり、世界中で最も多い整形外科的疾患なのです。

一般的に注目されるのは整形外科的な要因であり、具体的には、ヘルニア、変形性脊椎症、筋・靭帯の損傷などになります。しかし、歯科領域とと腰痛との関連が研究され始めてきています。

歯の噛み合わせのズレ、顎関節の変形、歯周病が原因の慢性炎症が全身の筋肉や骨格へのバランスや免疫系統にマイナスに影響して、腰痛になり得ること可能性があるのです。つまり、腰痛を根本的に改善するためには、そういう切り口での歯科領域の治療が必要であるのです。

姿勢と噛み合わせ

いい姿勢と悪い姿勢

姿勢は顎や、噛み合わせの状態と深く関係しています。噛み合わせのズレが起きると下顎の位置がズレて、頭の傾きや頸椎に負担がかかるのです。そうなると、重心がブレて、脊柱全体のバランスも崩れやすくなります。

研究では、不安定な噛み合わせや歯がなくなって放置することが姿勢の異常、体幹の筋の緊張と関連することが示されています(Manfredini et al., 2012)。バランスの崩した姿勢は腰への負担を増大させて、慢性的な腰痛につながるのです。そのため、整体に長く退院しても治らない、というようなケースがでてきます。

顎関節症と体幹のバランス

顎関節症の女性

顎関節症は顎のギシギシといった痛みやガリガリといった雑音がでる口の開閉とともに付きまとう症状を特徴とします。実は、その影響は頭頸部だけでなく、全身に波及するのです。

顎関節の偏位や筋緊張は頸椎のバランスを崩して、脊柱全体の歪みを引き起こします(Cuccia & Caradonna, 2009)。脊柱が歪めば腰椎への負荷は一部に偏って、腰痛を悪化させます。顎関節症治療をする上で欠かせない噛み合わせ の安定化は、頭頸部から腰にかけてのバランスの改善に貢献します。

歯ぎしり・食いしばりと筋の緊張

食いしばりをする女性の口元

ブラキシズムといわれる、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、咀嚼筋や側頭筋の過剰な緊張を生じさせます。そのことが頸部や肩の筋肉に連鎖して緊張を波及させて、腰まで影響が及ぶことがある(Fernández-de-las-Peñas et al., 2010)。

このような筋の緊張は腰痛の原因の温床となって、慢性化しやすくなります。マウスピースを用いる、スプリント療法は、咀嚼筋の過剰は負荷を軽減して、腰部の筋の緊張を和らげる効果ももたらすのです。

歯周病と炎症

歯周炎の女性

歯周病は歯肉の病気だけではなく、全身に炎症性サイトカインを放出する慢性炎症性の疾患でス。この炎症物質は血流を介して筋・関節にもマイナス影響を及ぼします。

最近の研究では、慢性的な腰痛患者は全身性炎症マーカー(CRPやIL-6)の数値が高値を示すことが報告されており(Klyne et al., 2017)、歯周病が腰痛の慢性化に影響している可能性があります。歯周治療後に腰痛の症状の改善がみられる症例も報告されています。

噛み合わせと歩行

歩く足元

噛み合わせは、歩行や運動にも影響を及ぼします。不安定な噛み合わせは、頭部の位置制御が乱れて、歩行時の体幹のバランスに偏りが生ます。これを放置すると腰部の一側に過剰な負荷が集中して、慢性的な痛みにつながるのです(Gangloff et al., 2000)。

スポーツでも、マウスピースによる噛み合わせの安定が体幹、筋力のパフォーマンスを向上させることが示されています。この経緯から、腰痛の予防には、歯科的要素は有効であると考えられます。

神経

神経のイメージ

噛み合わせや、顎の関節からの感覚情報は三叉神経を経由して、脳幹や小脳で姿勢の制御をする神経回路と繋がっています。そのため、口のトラブルは中枢神経系において姿勢の制御を乱して、筋肉や、骨格系など、身体全体の不均衡を招くのです(Miles et al., 2001)。

腰痛は、口から中枢神経そして、筋肉と骨格 へとつながっていること理解することが重要になります。

歯科治療

歯科治療のイメージ

歯科治療は腰痛の改善にプラスの影響があるといえます。噛み合わせの調整や、マウスピース治療、顎関節症の治療、歯周病治療、被せ物をする補綴など、口の中を整えることは姿勢や筋の緊張を改善して、慢性的な腰痛の軽減に貢献します。

噛み合わせを中心とした歯科治療を行い、整形外科や、リハビリテーションと同時並行して行うことで、より良い総合的な腰痛対策が可能となります。

健康と免疫力

健康な女性

腰痛は筋肉や、骨格系の疾患ではなく、炎症や免疫、生活習慣の乱れが関与する全身の問題でもあります。さらに、口の中を整えるだけでなく、食生活、睡眠、ストレスこんとろなどをの総合的な包括的ケアが必要になります。慢性的な炎症や、免疫力の低下を改善することは、腰痛の再発予防にもつながるのです。

答えは、トータルヘルスケアプログラム®

トータルヘルスケアプログラム®のイメージ

重要なのは、歯科治療だけを行うのではなく、包括的に身体を整えることであります。腰痛には噛み合わせの異常、顎の関節の問題、免疫、生活習慣、炎症が複雑に絡みあっているのです。

トータルヘルスケアプログラム® は、最大百時間を超える精密分析で、免疫、栄養、生活習慣、ストレスの原因を総合的に分析して、あなたに合わせたオーダーメイドの改善策を提示します。歯科治療と連動して、腰痛の原因を根本的に見直して、症状の改善と再発予防を両立させる治療プログラムになります。

最後に

腰痛は整形外科の問題のように思えますが、実際には口の中の健康が関係しています。

不安定な噛み合わせ、顎関節症、歯ぎしり、歯周病、歯性感染は、姿勢、筋の緊張、身体全身の炎症にも影響して、慢性腰痛を悪化させるるのです。ということは、腰痛治療には歯科的領域の治療が欠かせないということになります。補助的に、免疫や生活習慣を含めた包括的なケアをすることで、持続的に改善することが可能となります。

トータルヘルスケアプログラム®は、歯科と身体全身をつなぐ包括的なアプローチであり、腰痛の方にに新しい選択肢を提供するものになります。部分的な対処的な治療ではなく、身体全体のバランスを取り戻すことが、腰痛の根本解決に近づく道と考えています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

みなさんの未来が輝かしいことを願っております。

健康寿命を10年、いや それ以上、伸ばすことが私の使命であり、実現可能であると信じています。

統括院長 Dr.Ryo

コラムは、ウエスト歯科クリニック(目黒区)と玉川中央歯科クリニック(世田谷区)で、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください。

参考文献

  1. Manfredini D, et al. “Occlusal features are not a reliable predictor of temporomandibular joint disorders.” J Oral Rehabil. 2012;39(9):623–633.
  2. Cuccia A, Caradonna C. “The relationship between the stomatognathic system and body posture.” Cranio. 2009;27(1):45–54.
  3. Fernández-de-las-Peñas C, et al. “Sleep bruxism and pain.” Mediators Inflamm. 2010;2010:369646.
  4. Klyne DM, et al. “Systemic inflammatory profiles in chronic low back pain: A systematic review.” Pain. 2017;158(5):995–1006.
  5. Gangloff P, et al. “Dental occlusion modifies gaze and posture control in human subjects.” Neurosci Lett. 2000;293(3):203–206.
  6. Miles TS, et al. “Neural mechanisms of human postural control.” Prog Brain Res. 2001;143:81–95.
医院名
医療法人社団聖和厚生会 ウエスト歯科クリニック
所在地
東京都目黒区鷹番3−7−6 2階
電話番号

03-5725-2251

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