今の治療で本当に大丈夫?
2026年8月14日
治療の途中でふと湧き上がる疑問があります。
「この治療、本当に自分に合っているのか?」
その問いは、決して間違いではありません。むしろ、現代の医療が高度で複雑になればなるほど、自然と生まれる疑問だと思います。
しかし、実際にはその疑問を解消する時間が取れないまま治療が進んでしまうケースが多くあります。
その理由には、説明を十分に行うための時間が確保できない医療構造の問題があるのです。
ここでは国内外の大学の研究をもとに、なぜ不安が生まれるのか、安心して治療を選ぶには何が必要か、なぜプレミアムコンサルテーションが重要なのか、を丁寧に解説していきます。
インフォームドコンセントとは何か

医療にはインフォームドコンセントという考え方があります。
これは本来、治療の内容、メリットとリスク、他に選べる治療、どれくらい保つのかを理解したうえで、患者自身が納得して治療を選択するプロセスを指します。
しかし現実には、説明書にサインするだけで終わってしまうような、形式だけの説明になってしまう傾向があると考えています。
石川ひろの先生の「共有意思決定に関する論文(医療と社会)」では、日本の医療現場では説明が一方的になり、患者の理解が追いつかないことが多いと指摘されています。
大阪大学医学部附属病院の医療安全管理部も、「十分に理解していないまま同意だけが進むケースが少なくない」と報告させています。
つまり、説明を受けた=理解した、ではない
ということなのでです。
なぜ理解が追いつかないのか

医療者も本来はもっと詳しく説明したいのだと思います。しかし、日本の保険診療は短時間で多くの患者を診ることを前提としているため、治療の選択肢をゆっくり比較することや、患者の価値観を聞き取ること、将来のリスクを踏まえた相談をする。
といった本来必要な深い対話である質疑応答の時間がどうしても不足しがちになります。
これは日本だけの問題ではなく、世界中の医療現場で同じ課題が指摘されているのです。
世界が注目する共有意思決定
そこで近年、国内外の大学が重視しているのが「共有意思決定(Shared Decision Making:SDM)」という考え方です。
これは、医師が説明して患者が同意する従来の形ではなく、医師と患者が一緒に治療法を考えて、患者の価値観も組み込んだうえで治療を選ぶ方法です。
では、なぜ歯科で特に重要なのか?

歯科治療は、インプラント、ブリッジ、入れ歯、自由診療の被せ物など複数の正解の可能性がある治療が存在しています。
だからこそ、患者自身の生活、価値観、将来の健康状態まで踏まえて選ぶ必要があるのです。
世界の研究もその必要性を支持しています。列挙すると、「歯科における共有意思決定導入に関する論文(Journal of Oral Rehabilitation)」、「補綴治療における共有意思決定の価値を検討した論文」、「共有意思決定を歯科臨床に導入するための総説論文」など、多くの研究で 「共有意思決定が治療満足度を高めて、治療後の後悔を減らす」 と報告されています。
ちなみに、京都大学の医療安全管理部の資料でも、「これからの医療には共有意思決定が不可欠」と明言されています。
今の治療が不安になる理由は、あなたのせいではない
前述の研究を踏まえると、「今の治療で本当に大丈夫?」という不安は、患者の側に原因があるのではなく、十分に対話し理解する時間が取れない、という構造から自然に生まれるものだと考えられます。
つまり、説明が一方的、情報が多すぎて整理できない、将来の見通しを自分で判断しづらい。
こうした状況が不安を引き起こすのであって、決してあなたの理解不足ではないのです。
プレミアムコンサルテーション

そこで重要なのが、プレミアムコンサルテーションとなります。
この時間は、保険診療ではどうしても確保できない約1時間の丁寧な分析と対話の時間を設けています。
今の状態の詳細な分析
咀嚼、噛み合わせ、顎関節、姿勢、将来起こり得るリスク
を包括的に評価して、あなたの口腔の「今」を正確に把握します。
今の治療の意味を丁寧に説明
なぜその治療が行われているのか、長所と短所、今後の予測、他の治療法と比較した場合どうか
これらをわかりやすく整理してお伝えします。
複数の治療提案を比較しながら提示
インプラント、ブリッジ、入れ歯、当院オリジナルの補綴物などを横に並べて、違いを明確に説明します。
選択肢が多い場合は、
- 将来の認知症予防も視野に入れた最良案
- 身体パフォーマンス重視案
- コスト優先案
という 3つに整理した形”でも説明します。
これはまさに、世界の医療が推奨する.共有意思決定.のプロセスそのものになります
今の治療が不安な方こそ、必ず受けてほしい理由

研究によると、十分な説明があった患者ほど治療満足度が高い、共有意思決定を行った患者は治療後の後悔が少ない、医療者への信頼が高まりトラブルが減ることが明らかになっています。
つまり、治療がうまくいくかどうかは、どう治したか、以上に、どう決めたか、が重要なのです。
だからこそ、不安がある今の段階でプレミアムコンサルテーションを受けることは、あなたの将来の健康にとって非常に理にかなった選択となるのです。
まとめとして
あなたの不安は、間違っても、心配性だから、ではありません。
医療の選択肢が増えたこと、十分な説明時間が取れないこと、将来を見据えた判断の難しさ、こうした理由から生まれる 自然で健全な感覚なのでです。
プレミアムコンサルテーションは、その不安を丁寧に解きほぐし、あなた自身が胸を張って“この治療を選んだ”と言えるようにするための時間 です。
納得して治療を選ぶことこそ、未来の安心へとつながります。
コラムは ウエスト歯科クリニック と 玉川中央歯科クリニック で、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください。
参考文献
- 石川ひろの(2020)
『共有意思決定の可能性と課題 ― がん医療における患者・医療者のコミュニケーション』
掲載:医療と社会
─ SDM の意義と、従来型医療の限界について解説。 - 大阪大学医学部附属病院 医療安全管理部
『インフォームドコンセントと患者理解に関する安全管理資料』
─ 患者理解が不足しがちな実態と課題を指摘。 - Noble・Klineberg
『歯科医療における共有意思決定の導入』
掲載:Journal of Oral Rehabilitation
─ 歯科にSDMが必要な理由を詳細に論じた論文。 - Feine 他
『補綴治療における共有意思決定の重要性』
掲載:International Journal of Prosthodontics and Restorative Dentistry
─ SDMが治療満足度を高めることを示した論文。 - Müller 他
『歯科臨床に共有意思決定を導入するための総説』
掲載:Dentistry 国際総説
─ SDM の3段階モデル(選択肢提示・比較・意思決定)を解説。 - 京都大学 医療安全管理部
『共有意思決定と患者中心医療に関する教育資料』
─ 医療安全とSDMの関係、実践のポイントを整理。
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
▶︎Dr. RyoのYouTubeはこちら
▶︎Dr. Ryoのプロフィール




