ガムは歯にいいの?それとも悪いの?
2025年9月26日
「ガムを噛むと歯に良い」と聞いたことがある人は多いはず。実際にテレビCMや歯科医院でも、「キシリトールガムを噛みましょう」とすすめられることがありますよね。
でも一方で、「砂糖が入ってるガムってどうなの?」「ガムって顎に負担がかかるんじゃない?」と疑問を抱く人も。
このテーマの答えは一言で言えば、「選び方と噛み方次第で、歯に良くも悪くもなる」です。
この記事では、ガムの成分や種類、効果、デメリット、そして歯科医がすすめる正しい活用法までを徹底解説します。ガムと上手に付き合うことで、虫歯予防や口臭対策だけでなく、集中力アップやストレス軽減など、嬉しい効果を手に入れることができますよ。
ガムとオーラルケアの関係とは?
そもそもガムって何のためにある?
ガムとは、元々は「チューインガム」として販売され、口の中で長時間噛むことを目的とした嗜好品です。味や香りを楽しむために作られた製品ですが、近年では医療分野でも注目される存在になってきました。
特に「無糖ガム」や「機能性ガム」は、虫歯予防・口臭対策・唾液促進といったオーラルケアの一環としての位置づけが強まり、医師や歯科衛生士からも推奨されることがあります。
ガムが注目される理由とその背景
なぜ今、ガムがここまで注目されているのでしょうか?
その背景には、以下のような社会的・医学的要因があります。
- 働き世代の口腔ケア不足:忙しくて歯磨きが疎かになる現代人にとって、ガムは「ながらケア」が可能な便利アイテム。
- 唾液の重要性が再注目:虫歯や歯周病の予防において、唾液が果たす役割が見直されています。
- 高齢者の咀嚼力維持:噛むことで脳が刺激され、認知症予防にも効果があるといわれており、介護分野でも活用されています。
良いガム vs 悪いガム:何が違うのか?
キシリトールガムの驚くべき効果
キシリトールガムとは、砂糖の代わりに天然の甘味料「キシリトール」が配合されたガムのこと。このキシリトールには、虫歯菌の繁殖を抑える効果があります。
- 虫歯菌のエサにならない:キシリトールはミュータンス菌(虫歯菌)の栄養にならず、逆に活動を弱める働きがある。
- 唾液の分泌を促進:噛むことで唾液が増え、口内の酸性環境を中和。虫歯の原因となる酸を洗い流します。
- プラーク形成の抑制:歯垢の元となる細菌の付着を防ぎ、清潔な口内環境を維持します。
毎食後に1粒ずつ、15分〜20分を目安に噛むことで、効果的に口腔ケアをサポートしてくれる強力なパートナーになります。
砂糖入りガムのリスクとは?
一方で、砂糖入りのガムはまったく逆の作用を持ちます。
甘さはあっても、これは虫歯菌にとっては“ごちそう”。以下のようなデメリットがあります。
- 虫歯のリスク増大:糖分が口腔内に長時間滞在し、虫歯菌が酸を出してエナメル質を溶かしてしまう。
- プラークの増加:細菌が増殖しやすくなり、歯垢が蓄積されやすくなる。
- 口臭や歯周病の原因にも:悪玉菌が増えることで、歯肉の炎症や口臭の悪化にもつながる。
見た目は同じようなガムでも、その中身が全く異なるため、「選び方」が非常に重要なんです。
唾液の力とガムの役割
唾液は“天然のマウスウォッシュ”?
唾液には、単なる水分ではない、驚くべき力が詰まっています。
実は唾液は、天然の抗菌物質を含み、虫歯や口臭、歯周病などの予防において非常に重要な役割を担っているのです。
唾液の主な働きとしては:
- 酸の中和:食後、口内は酸性に傾きます。これを中和するのが唾液の役割。
- 細菌の洗浄:唾液は、口内の細菌や食べかすを洗い流す働きがあり、衛生環境を維持。
- 再石灰化の促進:歯のエナメル質が溶けかけたときに、カルシウムやリンを補って修復してくれるのも唾液の力。
食後ガムで中和される口内環境
食後は酸性状態になり、虫歯のリスクが高まる時間帯。
このタイミングで無糖ガムを噛むことで、唾液の分泌が一気に促進され、酸を中和する効果が期待できます。
さらに、唾液の量が増えることで、以下のようなメリットも得られます:
- 早期のpH回復:口内pHが虫歯のリスクゾーンからすばやく回復。
- 口臭の抑制:唾液がにおいの原因物質を分解し、爽やかな口臭をキープ。
- 再石灰化タイミングの確保:歯の再生を助ける時間を作ることで、初期虫歯の進行を抑制。
ガムがもたらす健康効果とは?
虫歯予防だけじゃない!集中力アップも?
ガムのメリットは、虫歯予防だけにとどまりません。
実は、近年では集中力の向上やストレス軽減、脳機能の活性化といった、驚くべき効果も注目されています。
- 脳の血流を促進して集中力アップ
ガムを噛むという行為は、顎の筋肉を刺激し、脳への血流を増加させる働きがあります。この刺激が前頭葉を活性化し、注意力や記憶力を向上させるといわれています。 - 試験前や仕事中にガムを噛むことで、集中力が続きやすくなる
- 運転中の眠気予防や、プレゼン前の緊張緩和にも効果的
- 学術研究も注目するガムの効能
ある大学の研究によると、「15分間ガムを噛んだ後に作業を行った被験者は、噛んでいない人よりもパフォーマンスが向上した」との結果も出ています。
ガムを噛むことで、まさに“頭がスッキリする”という効果を、科学的にも証明しつつあるのです。 - ガムは“噛むサプリ”と言えるかも?
ガムは単なるお菓子ではなく、**脳と体に効く“噛むサプリ”**とも言える存在。日常生活に上手に取り入れることで、思わぬ健康効果を実感できるかもしれません。
ストレス緩和や口臭予防にも効果的
ストレス社会の中で、ガムが果たす役割は意外にも大きいんです。
実は「噛む」という動作自体に、副交感神経を優位にしてリラックスさせる効果があるのです。
- ストレスホルモンの減少
ガムを噛むことで、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌を抑制するという研究も報告されています。
つまり、日常的にガムを噛むことは、ストレスコントロールにもつながるんですね。 - 緊張緩和の効果
- 面接前にガムを噛むと緊張がやわらぐ
- 飛行機や新幹線などでの耳抜き対策にも
- 口臭予防にも有効
唾液が増えることで、嫌な口臭の元になる**揮発性硫黄化合物(VSC)**の発生を抑制。
ガムのミント成分によって一時的に匂いを抑えるだけでなく、根本から口臭の改善に働きかけてくれます。
噛みすぎ注意!ガムのデメリットとは?
顎関節症のリスクとその予防策
どんなに体に良いと言われるガムでも、“噛みすぎ”には注意が必要です。
特に、1日に何時間もガムを噛んでいると、**顎関節に過度な負担がかかり、「顎関節症(TMD)」**を引き起こす恐れがあります。
●顎関節症とは?
- 顎を動かすと「カクッ」と音が鳴る
- 口を開けると痛む、または開きにくい
- 噛み合わせの違和感や肩こり、頭痛が出る
こうした症状が出た場合、ガムの噛みすぎが原因であるケースもあります。
●予防のポイント
- 1回の噛む時間を15〜20分程度に制限
- 顎に違和感を感じたらすぐに休止
- 左右バランスよく噛むよう意識する
特に子どもや高齢者、矯正中の方などは顎関節への負担に敏感ですので、過剰な摂取は避けるべきです。
ガムに頼りすぎる生活が招く問題
ガムは便利で手軽なケアアイテムですが、「ガムを噛んでいるから歯磨きしなくていいや」といった過信は禁物です。
●ガムはあくまで“補助的なケア”
歯の汚れ(プラーク)はガムだけでは除去できません。歯ブラシによる物理的な清掃が必要です。
- ガム=口腔ケアの代用品ではない
- 歯磨き・フロス・マウスウォッシュなどと併用して初めて効果を発揮する
●食生活の乱れも引き起こす?
「お腹が空いたらとりあえずガムを噛む」といった習慣がつくと、栄養バランスの悪化や、咀嚼機能の偏りを招くことも。
- 満腹感を錯覚して食事のタイミングを逃す
- 顎の使い方が偏って、顔のバランスが崩れることも
「便利=万能」ではありません。ガムに依存しすぎず、バランスの取れた使い方を意識することが大切です。
正しいガムの選び方と噛み方
市販のおすすめガムはどれ?
スーパーやコンビニで売られているガムの中には、虫歯予防や口臭対策に適したものが数多くあります。ただし、「キシリトール配合」と書いてあるだけでは、必ずしも安心とは言えません。成分の割合や他の添加物の有無にも注意が必要です。
●選ぶべきポイント
- キシリトール含有量が50%以上:この量を超えると虫歯予防効果が科学的に期待できるとされています。
- シュガーレス表記があるもの:砂糖が入っていないか、よく確認しましょう。
- フッ素やカルシウムが含まれている機能性ガム:さらに歯の健康を強化したい人向け。
●人気のキシリトールガム例(※一部市販製品)
- ロッテ「キシリトールガム」
- オーラルケア専用「リカルデント」
- オーガニック志向の「ナチュラルチューインガム」
パッケージをよく読み、自分の目的に合ったガムを選びましょう。
いつ、どれくらい噛めばいいのか?
どんなに体に良いガムでも、タイミングや量を間違えると逆効果になってしまいます。
一番効果的なのは食後に15〜20分程度噛むこと。これにより、唾液の分泌がピークになり、口内の酸性を中和する力が最も高まります。
●ガムを噛む理想的なタイミング
- 朝食後・昼食後・夕食後の1日3回
- 間食後やコーヒー後にもおすすめ
- 寝る直前は避ける(唾液の分泌が少ない時間帯)
●適切な噛む時間・頻度
- 1回あたり15〜20分
- 1日1〜3回を目安に
- 顎が疲れない範囲で、無理なく習慣化するのがポイント
また、常に同じ側で噛むのではなく、左右バランスよく噛むことで顎関節や筋肉への負担を減らすことができます。
歯科医がすすめるガム活用法
小学生から高齢者までの活用シーン
年齢に関係なく、ガムは多くの人にとって役立つアイテムです。ただし、それぞれの年代や状況に応じて、噛み方や種類を工夫する必要があります。
●小学生〜中高生
- 歯磨き習慣の補助として、学校帰りやおやつ後に
- 集中力アップにも効果があるため、勉強前に噛むのも◎
●働く世代(20〜50代)
- 昼食後のオフィスでの口臭対策に
- ストレス軽減や眠気予防にも有効活用可能
●高齢者
- 唾液分泌が少なくなりがちな高齢者には、口腔乾燥症対策としてガムが効果的
- 柔らかめのガムを選び、噛みやすさを重視する
それぞれのライフスタイルに合わせて、ガムを取り入れる工夫が求められます。
歯磨きやフロスとの併用方法
ガムはあくまで「補助的なケア」。基本的な口腔ケアである歯磨き・フロス・マウスウォッシュとの併用が欠かせません。
●正しいケアの順番
- 食後すぐにガムを噛む(唾液促進+酸の中和)
- 30分後に歯磨きを行う(歯の再石灰化を待つ)
- 就寝前には必ずフロスとマウスウォッシュを併用
この流れを習慣にすることで、ガムの効果が最大限に発揮されます。
●注意点
- 歯磨きの代わりにガムだけ…はNG
- 虫歯予防の効果は、あくまで歯磨き後の“プラスα”
正しい知識と組み合わせで、ガムは非常に有効なツールになるのです。
よくある誤解とQ&Aで解決!
「ガム=虫歯予防になる」は本当?
半分正解、半分誤解です。
キシリトール入りの無糖ガムを、適切なタイミング・時間で噛んだ場合には虫歯予防の効果がありますが、それはあくまでも「補助的」なもの。
ガムだけでは歯の表面のプラークや歯石を取り除くことはできません。
また、砂糖入りガムや果汁入りガムを噛んでいる場合は、むしろ虫歯リスクが高まります。
●正しい理解のポイント
- キシリトールガムには科学的根拠がある
- 歯磨きやフロスとセットで使うべき
- ガムの種類と噛み方次第で、予防にもリスクにもなる
入れ歯や矯正中でもガムは噛める?
ガムの効果を知ると、「自分も噛みたい!」と思うかもしれませんが、入れ歯や矯正器具を使っている人は注意が必要です。
●入れ歯ユーザーの場合
入れ歯は構造上、粘着力のあるガムを噛むことで、ズレたり吸着が外れたりする可能性があります。
また、義歯の素材によっては、ガムが付着してしまい、洗浄が困難になることもあります。
おすすめ対策:
- ガムの代わりに、キシリトールタブレットを使用する
- やわらかいガム、くっつきにくいタイプを選ぶ
- 歯科医に相談のうえ、噛んでも支障がないか確認
●矯正中の人の場合
ワイヤー矯正やマウスピースを装着している場合、ガムの粘着成分が器具に絡まり、故障や誤作動の原因となることがあります。
おすすめ対策:
- 矯正器具を外せる場合は、食後のガムだけに限定
- ノンスティックタイプのガムやタブレットに変更
無理せず、自分の口の状態に合わせたケア方法を選ぶことが大切です。
ガムを味方にする生活習慣の工夫
ガムは使い方さえ正しければ、毎日の健康習慣にしっかりと組み込めるアイテムです。以下に、「賢くガムを取り入れるコツ」をご紹介します。
●通勤中・仕事中に噛むならこのタイミング!
- 朝の電車や車内:脳を活性化して、1日のスタートを快適に。
- 会議前・集中したい時間帯:前頭葉を刺激し、頭が冴える。
- 午後の眠気タイム(14時〜15時):血糖値の低下とともに集中力が下がる時間帯におすすめ。
ただし、会話の邪魔にならないよう、ミント系・無香料タイプを選ぶと周囲への配慮にもなります。
●ガム習慣で“ながらケア”を身につけるコツ
「歯磨きのあとにガムを噛む」「おやつの後はガムで仕上げ」など、ルーティン化することで、自然と虫歯予防ができるようになります。
- ポケットやバッグに常にガムを常備
- デスクや車内にガム専用スペースを設ける
- 家族みんなで“ガムタイム”を設定して習慣にする
ガム習慣を生活に溶け込ませれば、オーラルケアがもっと身近になります。
結論:ガムは歯に良い?悪い?
結論から言えば、正しいガムを、正しい方法で噛めば、ガムは歯にとって非常に良い存在です。
特に、キシリトール配合のシュガーレスガムは、虫歯菌の活動を抑え、唾液の分泌を促すことで、虫歯や歯周病の予防に効果を発揮します。
●ガムのポイントまとめ
- キシリトールガムを選ぶ(砂糖入りはNG)
- 食後に15〜20分噛むのがベスト
- 歯磨きやフロスの“補助的役割”として活用
- 顎関節に負担をかけないよう噛みすぎに注意
- 年齢や体質に応じた使い方を意識する
「ガム=お菓子」というイメージを脱して、日常のオーラルケアに取り入れることが、歯の寿命を延ばす第一歩です。
正しい知識を持って、ガムを賢く使いこなしましょう!
❓よくある質問(FAQ)
Q1: キシリトールガムは何歳から噛めますか?
A: 基本的には3歳頃から可能ですが、小さな子どもには誤飲の危険があるため、保護者の監督のもとで使用してください。
Q2: ガムを噛んでも歯は白くなりますか?
A: ガム自体にホワイトニング効果はありません。ただし、唾液分泌を促進することでステイン予防にはつながります。
Q3: どんなタイミングでガムを噛むのが一番効果的?
A: 食後15分以内がおすすめです。特に、歯磨きができない外出先ではガムが非常に有効です。
Q4: キシリトールガムでも噛みすぎると害になりますか?
A: はい。長時間・頻繁に噛むことで顎関節に負担がかかり、痛みや違和感の原因になります。適度な使用を心がけましょう。
Q5: ガムと歯磨き、どちらが大切?
A: 圧倒的に歯磨きです。ガムはあくまで補助的ケア。基本は1日2〜3回の歯磨きが欠かせません。