なぜ、癌になったら噛み合わせを治した方がいいのか?
2025年10月14日
みなさん、こんにちは。統括院長のDr.Ryoです。
今回は、こちらをテーマにしてお話しします。
なぜ、癌になったら噛み合わせを治した方がいいのか?
がん治療と歯科メンテナンスとの関係
癌になったら、精神的な負担が大きくなり、なかなか冷静な判断をするのは難しいのではないでしょうか?
また、我々の常識といわれる情報の中に、癌治療と歯科が関係することはあまり知られていないこともあるでしょう。となると癌治療の患者さんの大半の方は、体力を回復させる、抗がん剤などの薬の副作用に耐える、ということに意識が集中し、どうしても歯科領域、もう少し具体的にいうと、噛み合わせを整えることを知らないがゆえに選択されない可能性が高いのです。
実は、それは私の見解では間違っているのです。なぜかというと、癌治療中だからこそ、余計に噛み合わせを整えることで得られるメリットが多いからです。メリットとして、一番あげたいのが回復のスピードに大きな影響を与えるということです。
実際、私が担当した患者さんで一例をあげると、癌治療中に噛み合わせを調整するトータルヘルスケアプログラム®️という治療を行なったところ、誰でも知っている有名な大学病院の主治医が、何かやったの?回復の速さが通常の2-3倍だ!、と驚きながら話されて、この事例を学術的に論文として書きたいとまでおっしゃっていただいたと患者さん本人から伺ったことがありました。
ただ、なぜそのような通常では考えられない奇跡的なことが起きるのでしょうか。私はより多くの方に、このような新たな考えや、治療法をより多くの方に知っていただきたいと考えて、コラムを書いています。
そのことで、本当に困った方に救いの糸口になると考えているからです。そのあとは、論文ベースの医学的な見解と私自身の臨床経験を交えながら解説いたします。
全身の治療を支える歯科領域
癌治療で、抗癌剤や放射線治療を受けている患者さんに多い副作用に口腔粘膜炎というのがあります。
なかなか聞き覚えのない病名だと思います。これは、口の中に炎症や潰瘍ができる病気です。 食事や会話をすると口の中が辛くなり、日常生活に大きな支障が出る疾患になります。
この病気の時に、不安定な噛み合わせの方は、痛みが通常よりも強くなり、食事の前に、噛むこと自体が辛くなり、自然と食事制限しないといけない状態になります。そのため、噛み合わせを整える治療をすることで食べ物を粉砕する、咀嚼効率が改善して、細かく粉砕できていることで食事も食べやすく、口から十分な栄養を取りやすくなります。
口から食べたものの栄養がしっかり取れるということですから、癌治療のような体力を消耗しやすい環境の場合、体力維持だけでなく、むしろ大量増進になることがきたいできるのです。
つまり、歯科領域のメンテナンスは全身の回復だけでなく、身体を支える基礎になりますから、見落とされがちですが、非常に重要な要素なといえるのです。
心と身体のバランスを整える噛み合わせ
噛み合わせが僅かにズレてきて、悪くなると、無意識に頭以外のところでバランスをとろうとすることで、顎の筋肉や関節に負担が増大します。
この歪みは、頭痛、肩こり、腰痛などの原因になるだけでなく、自律神経の緊張を高めて負担がかかることから、全身のストレスを増加させる大きな要因にもなっていきます。
体力的、精神的にも大きなストレスがかかる癌治療において、噛み合わせを安定させることは、筋肉の緊張を緩和して疼痛軽減し、リラックス効果も得られるのです。平たくいうと、噛み合わせを整えると、食べやすくなる、さらに、治療中に不安定になりがちな心と身体のバランスを支えてくれる大切な要素になりえるのです。
驚異の回復力満たされた生活の質(QOL)
近年の研究では、治療だけではなく、治療を受けられる患者さんの生活の質(QOL)、回復力が大切だといわれてきています。
2023年のある論文では、癌患者の術後ケアや生活の質の維持が、治療効果や長期的生存率に大きく影響することが発表されました。ケアには、栄養の確保、社会的交流、心理的安定などで、歯科領域はそれらをした支える大切な要素になります。
キチンと食事をして、話す、つまり、人と関わることは、患者さんの意識向上に繋がり、結果として免疫力があがり、治療への耐性、回復スピードを大幅に高めるのです。
見落とされがちな、噛み合わせを整えるということが、人間が活動することにもっとも必要な、生活の質を底上げして、その副産物として癌と向き合える底力になるのです。
最新の研究では?
最近の研究ではどうなっているのか、ご紹介します。
- Post-Operative Care of the Cancer Patient(2023年)は、癌治療における術後の機能回復や治療後の生活の質が重視されるとしています。口腔機能の維持や噛み合わせの安定が重要であることを裏付ける内容になっています
- Host response to cancer therapyという研究は、治療自体が患者さんの身体に大きな負担、影響を与えることが説明されおり、癌治療を耐え抜くために、患者さんの身体の基礎を守ることが大切だと示されています。その基礎の中には噛み合わせが含まれます。
- 癌治療の副作用として頻発する口腔粘膜炎は、食事がしにくくなることで、栄養状態や生活の質を大きく損ないます。噛み合わせを調整することによって食べやすくなり、痛みや不快感を緩和される可能性があります。
これらの研究は、噛み合わせ治療とがん治療の関係を直接論じたものではありませんが、歯科領域のケアが回復力に直結する、という意味では、噛み合わせ改善がとても重要であると示していると考えています。
マンツーマンケアの必要性当院の取り組み
これまで、噛み合わせを整えることが大切であると話してきましたが、癌治療中の噛み合わせ調整治療は、非常に治療としてのハードルが高いといえます。
なぜなら、抗癌剤や放射線治療を受けている方の多くが、その副作用の影響から、口の中が敏感になってる方が多く、患者さんごとに治療方針をかえるオーダーメイド治療が必要になってきます。とても、テンプレートのような治療では、結果を出さないとお考えください。
そのため当院では、プレミアムコンサルテーション、という特別診療枠をご用意しています。これは初回60分かけて、癌治療の現状や副作用、生活スタイルまで丁寧に伺い、歯科領域の、噛み合わせに問題があるのか、口腔環境をどう整えるのが最も安全かを検討するマンツーマンの特別な初診体験です。
さらに、希望される方や、必要な方にはには当院独自のトータルヘルスケアプログラム®をご案内しています。
これは最大100時間を超える精密分析をもとに、噛み合わせだけでなく全身の健康状態、生活習慣、姿勢、呼吸など多角的にトータルサポートする治療プログラムになります。癌治療中の方にとって、体全体の回復力を底上げする、免疫力をあげる大きな選択肢となります。
最後に
本コラムは目黒区のウエスト歯科クリニック、世田谷区の玉川中央歯科クリニックで、それぞれ別のテーマについて掲載しています。
両方の記事を読み比べていただくと、癌治療中だけでなく、歯科領域が身体に対してどれだけ重要な役割をはたしているのか、今ままでより深く理解していただけるはずです。
どうぞこのまま、もう一つのホームページもご覧ください。あなたの状態を超えた、きっと新しい発見や、助けになることを信じております。