なぜ、歯ぎしりは噛み合わせを直すと良くなるのか?
2025年10月3日
今回は、このテーマでお話しします。
なぜ、歯ぎしりは噛み合わせを直すと良くなるのか?
歯科医から見た、噛み合わせと身体の知られていない関係性
歯ぎしりの原因はストレスと考えている方も多いと思いますが、噛み合わせのズレが大きく関係します。最新の研究と臨床経験から、なぜ噛み合わせを整えると歯ぎしりが改善するのかを解説します。
歯ぎしりで辛い思いをされている方は少なくないと思います。朝起きた時から寝起きが最悪で、例えば、顎がだるい、歯がすり減ってきた、詰め物が壊れる、肩がこって、首が張る など、症状はさまざまです。。ある患者は、家族に、夜中に歯軋りがひどくて寝られない、ギリギリ噛んでるよ、と指摘される方もいらっしゃいます。
一般的には、ストレスが原因ならやむを得ないと考えがちですが、実際に私が現場で患者さんを診察してみると、単純にそれだけでは説明がつかないケースが多いと感じています。
歯ぎしりと噛み合わせのズレとの関係は非常に相関関係が深いと考えています。
歯ぎしりとは何か?
歯科医学的にはブラキシズムと言われる歯軋りですが、具体的には、睡眠時に無意識に上下の歯をギリギリとすみ合わせをしたり、強く上下の歯で噛みしめたりする状態のことをいいます。
前者は、音がでますからわかりやすいのですが、後者は音が出ないことから家族が隣に寝てても気が付きにくいので、その存在に気づかず少し厄介です。
両者とも歯や顎に過剰な負担をかけます。長期的には歯の咬耗、摩耗、マイクロクラックなどの亀裂、顎関節症、頭痛、肩こりにまで発展します。つまり「ただの癖」としては放置できないのです。
咬合のズレから生じるマイナスのループ
噛み合わせのズレは、左右の顎の動きはアンバランスになり、筋肉の動きが不均等になります。その歪みを身体が自己修復しようとして、なるべく歯が均等にあたるように、夜間の無意識の時に歯ぎしりをするのです
例を挙げると、右側の奥歯だけがわずかに左側より高いと、左右でバランスよく噛まないために顎は安定できなくなり、無意識にギリギリと右側の歯を集中的にすり減らすという調整運動を始めるのです。
そうすると結果的に歯の高いところが削れて、高いところだけが削れて噛み合わせが安定することもありますが、残念ながら皆さん全員がそうではなく、削れてはいけないところも削れてしまい噛み合わせが以前よりも不安定になるケースがみられます。
そうなると、さらに崩れて、次第に歯ぎしりが強くなっていく方も多くみられます。それが負のスパイラルとなって体調不良に導いていくのです。
顎の関節と筋肉の負担との関係性
顎の関節は非常に繊細にできており、ほんの少しの高さの違いがあっても、その周りの筋肉、靭帯に負担がかかるようになっています。もし、顎が適正な位置からズレてしまった場合、顎の周りの筋肉が常に緊張してしまうため、その緊張を少し和らげるために歯ぎしりを繰り返すこともあるのです。
例えるなら、不安定な椅子に座った人が身体を揺らしながらバランスを探しているようなものです。実は、顎関節も適切な位置を探すために、夜間にさまよいながら動いているのです。
では、なぜ噛み合わせを正すと歯ぎしりが軽減するでしょうか?
単純に、筋肉の負担が減ります。
噛み合わせが安定すると、咀嚼筋に負担がかからず、筋肉がリラックス状態になります。そうなることで、就寝中の歯軋り、食いしばりの頻度や強さが解消または、軽減するのです。
さらに、顎の関節が安定します。
噛み合わせが安定すると、顎の関節は適正な位置に収まり、噛み合わせが不安的なときに起こる無意識の状態での顎の不自然な動きをしなくなることから顎の関節が安定します。
神経の負担も軽減
実は、歯や顎にある感覚情報は常に脳に送られています。つまり、噛み合わせが安定することで、このフィードバックが整いますから、就寝中の過剰な筋活動の抑制に繋がるのです。
論文からみる科学的な根拠
いくつかの研究をご紹介します。
1.修正型前歯スプリントの効果
中国の研究(Zhangら, 2023, BMC Oral Health)では、前歯用のマウスピースを用いると、他の通常の硬質・軟質マウスピースに比べて、歯ぎしりでお悩みの患者さんの顎筋活動と咬合力が明らかに低下しました。このことは、噛み合わせの安定が筋の活動を抑制することを証明しています。
2.バイオフィードバック付きスプリントの有効性
レビュー(Chenら, 2023, BMC Oral Health)によると、フルオクルージョンのバイオフィードバック付きスプリントは、睡眠時の歯ぎしり回数を減少させ、症状改善や生活の質の向上に効果的なのがわかりました。今までのスプリントよひ一歩進んだ効果があります
3.AIセンサー搭載スプリントの可能性
Liuら(2020, Sensors)は、生体フィードバック機能を備えたスマートスプリントを開発して歯軋り、食いしばりなどのブラキシズムを改善する可能性を示しました。これは、咬合調整をリアルタイムでモニタリングできる治療法です。
4.咬合装置による力の分散効果
(Kobayashiら, 2024, JPR)は、三次元の解析によって、咬合装置が接触面を分散して部分的な力への集中を避けることで顎の関節や歯への負担を軽減することが確認されました。
5.咬合が主因ではないが管理は必須
米国歯科協会の総説(ADA, 2025, Craniofacial Journal)では、歯ぎしりの主な原因が噛み合わせだけではない、というスタンスではあるが、噛み合わせのズレが体調不良に影響することは否定できない、と結論づけました
治療方法の選択肢
スプリント治療
就寝時にマウスピース、別名ナイトガードを装着して、歯軋りの頻度を下げて、もし歯軋りをしたとしても歯の摩耗を防ぎ、顎の関節に緊張を与えずに安定させるという治療法です。。最近はAI搭載型、バイオフィードバック型、それ意外にも色々なタイプのマウスピースがあります。
咬合調整(噛み合わせ調整)
詰め物や被せ物の高さを削ることで調整し、なるべく歯の高さを左右の差を少なくすることで明らかな噛み合わせの不均衡を小さくする治療法です。歯ぎしりの原因が咬合干渉にある場合にのみ効果があります
矯正治療
歯並びがあまりにもガタガタしていて、噛み合わせが不安定な場合は、歯列矯正によって噛み合わせを安定させるのが、この治療法です。
トータルヘルスケアプログラム
噛み合わせだけでなく、姿勢、呼吸法、生活習慣、筋肉の歪み、ストレス管理まで包括的にアプローチする治療法です。
最大100時間以上の精密徹底分析、AIによるバイオメカニズムソルーション、ドイツ製の最新医療機器を総合的に用いて、免疫力をあげて身体の潜在的な不具合の予防まで徹底的にカバーします。
歯ぎしりは口の中という部分的な問題にとどまらず、身体全体と密接に繋がっています。つまり、単なる歯軋りではなく、未来の体調不調がくる予兆、警報、サインのようなものとお考えください。
ストレスが原因か?
一般的にストレスは歯ぎしりと強い相関関係にあるといえます。さらに、噛み合わせの不安定さとストレスが同時に重なると、症状はさらに悪化していきます。つまり、噛み合わせの安定とストレス、同時のケアが必要になってくるのです。
本当に改善したい方へのまとめ
歯ぎしりは噛み合わせのズレや全身の緊張や、体調不良が発したサインなのです。
咬合を正すと筋肉や顎の関節の負担が軽減
スプリントや矯正治療だけでなく、根本改善が必要
生活習慣やストレス対策を含めたトータルヘルスケアプログラム治療が望ましい
Dr.Ryoからのご案内
もしあなたが、
長年の歯ぎしりに悩んでいる
マウスピースを使っても改善が実感できない
朝起きても顎や首が重くて辛い
そうお悩みであるなら、一度噛み合わせを中心とした精密診断を受けることをおすすめします。
当院では[プレミアムコンサルテーション]を実施しています。
また、必要に応じてトータルヘルスケアプログラムもご提案しています。歯ぎしりで悩む必要はありません。。正しく診て、キチンと向き合えば改善や、症状を軽減する糸口は必ずあります。
あなたの安心した未来の健康のために、今ここで一歩踏み出してみてください。