TEL
MENU

ブログ

なぜ、偏頭痛に歯科治療が効くのか?

2025年12月26日

みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。今回のテーマはこちらです。

なぜ、偏頭痛に歯科治療が効くのか?

偏頭痛は世界的に悩んでいる人が多く、日本でも成人の約8%が悩まされているといわれています(Sakai & Igarashi, 1997)。ケースによっては、拍動性の頭痛だけでなく、吐き気、光過敏を伴って、生活の質を著しく低下させるのです。

これまで偏頭痛は、神経内科的疾患として扱われてきたが、近年は歯科領域との関連が注目されています。

口の中は三叉神経支配領域で、噛み合わせ、顎の関節、歯周病などの異常があると、頭痛の発症や症状の増悪に関係するすることがわかってきました。そのため、偏頭痛治療において、通常の治療以外に、歯科治療も加えることは不可欠であると考えています。

偏頭痛と口との関係

片頭痛の女性

偏頭痛は三叉神経血管系の活性化と炎症性ペプチドの放出によって、血管の拡張や痛みが生じる疾患です(Goadsby et al., 2017)。この三叉神経は口の中・顎顔面領域を広く支配していることから、歯科的な要因が神経を介して頭痛に影響を及ぼし得ると考えられます。噛み合わせの異常や顎関節症による筋肉の緊張は三叉神経への刺激を持続させ、偏頭痛を悪化させるのです。

噛み合わせの異常と顎関節症

不安定な噛み合わせ、歯を失ったり、噛みしめは咀嚼筋の過剰な緊張を引き起こし、側頭筋や咬筋を介して頭痛を遊発します(Ballegaard et al., 2008)。睡眠中の食いしばり、歯ぎしりは偏頭痛を慢性化してしまいます。

顎関節症患者の半数近くが慢性頭痛を訴えるとの報告もあり(Dworkin et al., 1990)、顎関節の問題と偏頭痛は表裏一体の関係にあると考えられます。

噛み合わせの調整やマウスピースを使うことスプリント療法はこのような負担を軽減して、頭痛の頻度や症状の程度を下げる有効な手段といえるのです。

歯周病と炎症

歯周病は全身性炎症疾患です。炎症性サイトカインは血流から全身に拡散して、血管内皮の機能を障害します。その結果、血管反応性が高まって偏頭痛の発症素因となる可能性があるのです。(Joshipura et al., 2003)。

また、慢性的な免疫刺激は神経炎症を助長して、発作の頻度や重症度を増す要因ともなります。歯周病の治療は口の中の健康改善だけでなく、偏頭痛のリスク低減にもつながると考えられます。

歯性感染と頭痛

虫歯や根尖病変などの歯性感染は局所の痛みだけでなく、遠隔部位への痛みを惹起する「病巣感染」として作用することがあります(Hunter, 1911)。慢性的な感染が三叉神経系を刺激し続けて頭痛が引き起こす場合、意外にも、病巣を除去する歯科治療が偏頭痛改善に貢献する可能性があるのです。

歯科治療とは

歯科治療のイメージ

偏頭痛は、口腔領域が深く関わっています。歯科治療は虫歯治療だけではなく、噛み合わせ、顎の関節、歯周組織、感染巣といった複合的な因子を整えることから、偏頭痛を緩和する可能性を持っています。実際の臨床でも、噛み合わせの調整、マウスピースを使うスプリント、歯周治療、根管治療を適切に行うことで頭痛発作の頻度や強度が軽減するケースが報告されているのです。

偏頭痛と全身

眠れない女性

偏頭痛は局所的だけではなく、全身的な健康とも関連しています。炎症や免疫バランスの乱れ、ストレス、睡眠不足、栄養の偏りはすべて偏頭痛の発症リスクを高めるのです。。そのため、偏頭痛を根本から改善するためには、口の中の治療だけでなく、全身のバランスを整える必要があるのです。

トータルヘルスケアプログラム®

トータルヘルスケアプログラム®のイメージ

歯科治療では、偏頭痛改善の可能性を高めるが、さらに免疫力の底上げ、生活習慣の改善、ストレス耐性の向上を組み合わせて初めて持続的な効果が期待できます。

医療法人社団 聖和厚生会が提供する トータルヘルスケアプログラム® は、最大百時間を超える精密分析に基づき、栄養、免疫、生活習慣、ストレス要因を総合的に評価し、オーダーメイドの改善策を提示する仕組みである。

歯科領域を含む全身の健康状態を丁寧に見直すことで、偏頭痛の根底にあるリスク要因を和らげ、症状改善と再発予防を同時に実現することを目指す医療プログラムになりますから、ご興味のある方はホームページを参照ください。

最後に

偏頭痛は、神経内科的疾患であるだけでなく、歯科的要因や全身の健康状態が複雑に関係する疾患です。

不安定なら噛み合わせ、顎関節症、歯周病、歯性感染といった口の中の問題は三叉神経を通して頭痛を誘発するだけでなく、さらに慢性化させます。そのために、偏頭痛の治療には歯科治療が重要であり、そして免疫や生活習慣の改善を組み合わせた包括的な視点が求められるのです。

トータルヘルスケアプログラム®は、こうした多角的視点を備えた仕組みであり、偏頭痛に悩む人々に新しい治療の道を開く可能性を秘めていると考えています。部分的な症状の対処にとどまらず、身体全体のバランスを取り戻すことこそが一番大切なのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

みなさんや、みなさんのご家族、ご友人にとって、新しい治療の選択肢を提供することができたのであれば、幸いです。

統括院長 Dr.Ryo

このコラムは、ウエスト歯科クリニック玉川中央歯科クリニック、それぞれで別の内容で掲載しています。

youtubeも併せて、ぜひご覧ください。

チャンネル登録と、いいねボタンも励みになりますから宜しくお願いします。

参考文献

  1. Sakai F, Igarashi H. “Epidemiology of migraine in Japan.” Cephalalgia. 1997;17(1):15–22.
  2. Goadsby PJ, et al. “Pathophysiology of migraine: A disorder of sensory processing.” Physiol Rev. 2017;97(2):553–622.
  3. Ballegaard V, et al. “Temporomandibular disorders, headaches, and psychological factors in a group of young adults.” J Orofac Pain. 2008;22(2):147–153.
  4. Dworkin SF, et al. “Epidemiology of signs and symptoms in temporomandibular disorders.” Oral Surg Oral Med Oral Pathol. 1990;69(2):151–162.
  5. Joshipura KJ, et al. “Poor oral health and coronary heart disease.” Circulation. 2003;107:1109–1114.
  6. Hunter W. “Oral sepsis as a cause of disease.” Br Med J. 1911;2:215–216.
  7. Burstein R, et al. “The migraine pain pathway: peripheral and central mechanisms.” Cephalalgia. 2015;35(6):444–459.
医院名
医療法人社団聖和厚生会 ウエスト歯科クリニック
所在地
東京都目黒区鷹番3−7−6 2階
電話番号

03-5725-2251

ご予約・お問い合わせ

【診療時間】

診療時間
10:00~13:00
14:30~20:00 18:00
まで
17:00
まで
18:00
まで

休診日:水曜・日曜

※金曜日の18時以降は、トータルヘルスケアプログラム®
の専用時間です。一般の診療はおこなっておりません。

各種クレジットカードのお取り扱い

保険診療は保険医療養担当規則により現金のみの支払いです。

© WEST DENTAL CLINIC All rights reserved.