口内炎ができやすい人の特徴
2026年2月27日
口の中に小さな潰瘍が現れると、食事や会話のたびに痛みを感じて、日常生活に支障を与えます。口内炎は誰にでも起こり得ますが、実は、すべての人に同じ頻度で起こるわけではありません。繰り返し口内炎を経験する人もいれば、ほとんどできたことがないという人もいるのです。その違いは一体どこから生まれるのでしょうか。
国内外の大学や研究機関による調査では、口内炎ができやすい人にはいくつかの共通点があることを示しています。
本コラムでは、東京大学や大阪大学をはじめとする日本の研究成果に加え、ハーバード大学、オックスフォード大学、カロリンスカ研究所など世界的な大学の報告を参照しながら、その特徴を詳しく解説していきます。最後まで、お付き合いください。
年齢とライフステージの違い

年齢は口内炎の出やすさに関係があります。若年層では免疫が高いのですが、試験や仕事に追われて生活リズムが乱れやすく、結果として粘膜に炎症が起こりやすい傾向があると考えられます。2016年のスタンフォード大学医学部の報告では、大学生や若手社会人が、アフタ性口内炎の発症頻度が高いことが示されました。
一方で高齢者では、年を重ねることによる唾液分泌の低下や、全身疾患の影響、薬の副作用などが重なることで、口内炎の治りが遅くなる傾向が見られます。2020年の東京大学の老年歯科の研究チームは、高齢患者では、小さな潰瘍でも治癒しにくい、という特徴を報告しています。
ホルモンバランスの影響

性別、ホルモンの変動も口内炎に影響します。特に女性は月経周期や妊娠、更年期によるホルモンの変化が粘膜の状態に影響を与えることが知られています。2021年のオックスフォード大学のレビューでは、女性ホルモンの変動がアフタ性口内炎の発症に関連する可能性があるとまとめられました。
妊娠中には免疫機能が抑制されるため、口内炎が出やすくなるという臨床報告も多く見られます。2019年の大阪大学の研究でも、妊娠期の女性は非妊娠期に比べて口腔粘膜炎症の発症リスクが高まることが確認されています。
遺伝的素因

家族内で口内炎が多発するケースが報告されており、遺伝的な素因も無視できません。2018年のハーバード大学歯学部の研究では、一親等に再発性アフタ性口内炎を持つ患者がいる場合、本人の発症リスクが二倍近く高まるとされています。
また、免疫応答に関与する特定の遺伝子型が口内炎のリスクを左右するという報告もあり、2019年のカロリンスカ研究所の研究では、自己免疫疾患の素因を持つ人は口腔粘膜炎症を繰り返しやすい、と指摘しています。
生活環境と社会的要因

口内炎には、生活環境も深く関わっています。都市部で忙しく働く人々は、時間に追われて食生活が乱れたり、睡眠不足に陥ったりしがちなため、2017年の東京医科歯科大学の研究は、都市在住者の方が農村部に比べて口内炎の発症頻度が高いことを示しました。その背景にはストレスや不規則な食事があると考えられます。
さらに、社会的孤立や精神的サポートの不足も影響すると考えられています。2020年のイェール大学医学部の研究では、社会的支援が乏しい高齢者ほど、慢性的な口腔潰瘍を抱える傾向が高いと報告されています。
全身の健康状態との関係

持病がある人は、口内炎ができやすいという特徴があります。糖尿病患者は高血糖のため感染や炎症が治りにくく、潰瘍が慢性化しやすいです。2020年の東京大学の報告でも、糖尿病のある人は群は口内炎の治癒期間が通常よひも長びくことが明らかになりました。
自己免疫疾患を持つ人は、免疫が過剰に反応して自分の粘膜を攻撃するため、潰瘍が繰り返し現れる傾向があります。2019年のカロリンスカ研究所の研究では、全身性エリテマトーデスやベーチェット病の患者で再発性口内炎が高頻度にみられると報告しています。
薬の副作用を受けやすい人

高齢者や多くの薬を服用している人も、口内炎が出やすいです。抗がん剤、免疫抑制薬、降圧薬、抗生物質の一部は、副作用として口腔粘膜炎を引き起こします。2016年のスタンフォード大学医学部の臨床報告では、抗がん剤治療を受けた患者の約四割に口内炎が発症したとされています。
口腔乾燥の影響を受けやすい人

唾液はバリヤーのようなもので、口の中の防御システムとして重要です。そのため、ドライマウスの人は潰瘍を起こしやすい傾向があります。加齢や薬の影響、シェーグレン症候群といった病気によって唾液が減ると、粘膜が乾燥して炎症を起こしやすくなります。2018年のハーバード大学歯学部の研究では、口腔乾燥と口内炎発症の関連が明確に示されました。
まとめとして
口内炎ができやすい人にはいくつかの特徴があります。若い人では生活の不規則さ、ストレスが、高齢者では加齢や持病、薬の副作用が背景にあります。女性はホルモン変動の影響を受けやすく、遺伝的な要因を持つ人は家族的に繰り返す傾向があります。都市部で忙しい生活を送る人や社会的サポートの乏しい人も口内炎のリスクが高く、糖尿病や自己免疫疾患を持つ人では口内炎が慢性化しやすいことがわかっています。
国内外の研究はすべて、口内炎は単一の原因で起こるのではなく、体質、生活習慣、環境、全身の健康状態が複雑に重なり合って発症するという点で一致しています。口内炎が頻繁にできる人は、生活習慣を見直して、同時に、全身の健康状態を確認することが大切ということがわかります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
みなさんのお役に立てたのであれば、幸いです。
統括院長 Dr.R.Ryo
コラムは、ウエスト歯科クリニック、と、玉川中央歯科クリニック、の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。
参考文献
- 東京医科歯科大学(2017年)都市部と農村部における口内炎発症の疫学研究
- 東京大学(2020年)糖尿病と粘膜疾患の関連調査
- 大阪大学(2019年)妊娠期女性の口腔粘膜炎症に関する研究
- Stanford University School of Medicine(2016年)抗がん剤治療患者における口腔潰瘍の発症報告
- Harvard School of Dental Medicine(2018年)口腔乾燥と粘膜炎症の関連研究
- University of Oxford(2021年)ホルモン変動と口腔粘膜疾患に関するレビュー
- Karolinska Institutet(2019年)自己免疫疾患と再発性口内炎の関連調査
- Yale University School of Medicine(2020年)高齢者の社会的要因と慢性口腔潰瘍に関する研究




