認知症に新しいアプローチ
2026年2月6日
みなさん、こんにちは、医療法人社団 聖和厚生会 統括院長 Dr.Ryoです。
今回のテーマはこちらです。
認知症に新しいアプローチ
高齢化が進む中、認知症は医療と介護領域において最も大きな課題の一つとなってきています。
2025年は、日本の高齢者の5人に1人が認知症、またはその予備群になるといわれており、社会的・経済的影響は計り知れないのです。
実は、これまでの研究は、症状の進行を抑える、一時的に改善させる、ということを目標としてきました。
そのため、根本的な治療には至っていないのが現状です。その理由には、神経細胞の変性が長期にわたって進行する、発症前から数十年の潜伏期がある、発症後には既に大きな神経ネットワークが損なわれている、という構造的な大きな課題があるのです。
しかし、ここ数年で新薬の登場、非薬物的アプローチ、包括的ライフスタイル介入の有効性が明らかになりつつあります。こうした新しいアプローチは、従来の医薬的治療だけに依存することの限界が見え隠れしています。
新薬治療の現状と課題

近年注目を集めているのは、アミロイドβを標的とした抗体医薬です。
米国FDAは2021年にアデュカヌマブ(Aducanumab)を条件付き承認し、続いてレカネマブ(Lecanemab)も承認された。これらはアミロイドβの沈着を減少させて、臨床的に進行を遅らせる効果があると言われています【Cummings et al., 2021】【van Dyck et al., 2023】。
ただし、この治療には大きな課題があり、年間治療費が約300万円と極めて高額であり、社会的・経済的な負担が非常に大きいのです。
さらに、第二に、進行を3年程度、遅らせるかもしれない、というレベルの進行抑制効果したなく、、根治には程遠いといえます。それ以外にも大切なのは、副作用として脳浮腫や微小出血が報告されており、定期的なMRI検査が不可欠であるということです。
つまり、新薬は大きな一歩であるが、万人に広く適用できる現実的な選択肢には、まだまだ、なっていないといえます。
薬物療法以外

認知症へのアプローチは薬だけではありません。非薬物的治療、生活習慣介入の有効性が報告されています。
認知リハビリテーション
軽度認知障害(MCI)や初期の認知症では、記憶課題や注意課題を繰り返すことが認知機能の維持に有効であることが示されている【Clare et al., 2019】。
身体活動
運動が、海馬の体積を増加させることが報告されている【Erickson et al., 2011】。有酸素運動や筋力トレーニングは 脳由来神経栄養因子 であるBDNFの分泌を高め、記憶・学習能力に良い影響を与えます。
食事・栄養
地中海食は、認知症発症リスクを低下させることが複数の研究で確認されています【Morris et al., 2015】。特に抗酸化物質やオメガ3脂肪酸の摂取は、神経細胞の炎症や酸化ストレスの軽減効果が期待できるのです。
社会的活動
孤立は、認知症リスクを高める大きな要因です。趣味活動、ボランティア、対話習慣がある人は、発症率が低いと報告されています【Fratiglioni et al., 2000】。
包括的介入
これらを踏まえると、因子介入が重要であることがわかります。
実際に、FINGER試験(フィンランドで行われた大規模介入研究)では、食事改善、運動・認知トレーニング、血管リスク管理を組み合わせると、認知機能の低下抑制ができることが示されました【Ngandu et al., 2015】。
つまり、認知症への新しいアプローチは薬か非薬物ではなく、包括的戦略が求められているのです。
トータルヘルスケアプログラム®
こうした流れの中で注目されるのが、医療法人社団 聖和厚生会が提供するトータルヘルスケアプログラム® です。
本プログラムは、最大100時間超におよぶ精密分析に基づいて設計されるオーダーメイド型の自由診療メニューで、2つの商標登録もされている独自の取り組みである。
プログラムは単に口腔や身体の一部を扱うのではなく、生活全体を捉えた包括的なサポートを特徴としています。すなわち、食事、運動、睡眠、筋肉バランス、ストレスコントロールといった要素を一体的に整えることが、認知症の進行抑制や予防においても大きな可能性を秘めている、といえるのです。
実際、プログラム継続者と非継続者とでは効果に明確な差が認められているという内部データも存在しており、単なる延命、ではなく、生活の質を伴った認知機能の維持、に貢献する可能性があるのです。
今後へ

認知症治療のは、新薬ら非薬物療法ら包括的介入が同時並行で進んでいます。その中でトータルヘルスケアプログラム® は、科学的知見を背景にした多面的アプローチを実践的に具現化する試みといえます。
もちろん、臨床試験のエビデンスがさらに必要ですが、既存の医薬的治療を補完して、生活者としての患者を支える枠組みとして大きな可能性と期待があります。
最後に、認知症はもはや避けられない老化ではなく、進行を抑えうる病態になりつつあるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回、お伝えしたことを生活の中で意識していただければ、より健やかな毎日につながると思います。
そして、もし、専門的なサポートを受けたいという方がいらっしゃるなら、プレミアムコンサルテーションと、トータルヘルスケアプログラム®︎をご用意しています。みなさんの健康を支える選択肢のひとつとして、ご選択いただければ、幸いです。
コラムは、ウエスト歯科クリニック、と、玉川中央歯科クリニック、の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。
参考文献
- Cummings J, Aisen PS, DuBois B, et al. Aducanumab: Appropriate Use Recommendations. J Prev Alzheimers Dis. 2021.
- van Dyck CH, Swanson CJ, Aisen P, et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. N Engl J Med. 2023.
- Clare L, Kudlicka A, et al. Cognitive rehabilitation for early-stage Alzheimer’s disease: A randomized controlled trial. Brain. 2019.
- Erickson KI, Voss MW, et al. Exercise training increases size of hippocampus and improves memory. PNAS. 2011.
- Morris MC, Tangney CC, et al. MIND diet slows cognitive decline with aging. Alzheimers Dement. 2015.
- Fratiglioni L, Wang HX, et al. Influence of social network on occurrence of dementia. Lancet. 2000.
- Ngandu T, Lehtisalo J, et al. A 2-year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring to prevent cognitive decline. Lancet. 2015.





