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女性と男性、虫歯になるのは?

2026年7月14日

結論をいいます

 女性のほうが虫歯が多いです

多くの研究で、女性は男性より虫歯になった経験が多いことが示されています。日本でも世界でも同様の傾向があり、統計的には女性の虫歯経験歯数(DMFT指数)は男性を上回っているのです。

しかし、これは女性の歯が弱いとか、歯を磨くのが苦手とか、という単純な話ではありません。

現実には、女性の方が歯科を受診する頻度が高くて、虫歯が早期に発見されて治療を受けているということも関係しています。つまり、女性は虫歯になりやすいわけではなく、悪いものを早期発見、早期治療をしている、いう女性側の努力があるのです。

疫学的データ

データを見る様子

世界保健機関(WHO)の統計をはじめ、各国の調査は、女性の虫歯経験率が高いことを報告しています。

日本の厚生労働省による歯科疾患実態調査でも、20代から40代の女性は男性よりも虫歯経験が多いと示されています。

アメリカの研究者ルーカス(Lukacs, 2011)は、世界各地のデータを比較して、女性の虫歯経験歯数が男性を上回ると報告しています。こうした傾向が文化や地域を超えて共通しているのです。

これらの数字は、女性の健康状態が悪いという意味ではなく、女性の方が歯科検診や治療を受ける機会が多いため、虫歯が発見されやすく、治療をうけるためにデータとして記録されやすいということなのです。

生物学的な理由

男女のイメージ

女性に虫歯が多い理由には、他にもあります。その一つに、生物学的な要因があり、歯の萌出(はえ始め)時期が早いという点にあります。

永久歯は一般的に男性よりも女性のほうが半年から1年ほど早く萌出しますから、同じ年齢で比べると、女性の歯は男性よりも長い期間、口の中にある状態ですから、虫歯になりやすいといえるのです。

平たくいうと、男性は、歯、そのものが生えていないので、虫歯になりようがないのです。

女性が虫歯になりやすい原因は、他にもあって、それはホルモンの影響です。

女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンは唾液の分泌量や性質に影響を与えますが、思春期、妊娠期、更年期などホルモンバランスが変化する時期には、唾液の緩衝作用が弱まり、虫歯ができやすくなることがあるのです。

それ以外にも、妊娠中は、つわりによって歯磨きが難しくなったり、酸性の嘔吐物が歯を溶かしたりするため、特に虫歯リスクが高まります(Laine, 2002)。このように、女性特有のものが口腔環境には良くない影響を及ぼすのです。

食習慣と生活習慣

口腔ケア用品

文化や生活スタイルも、虫歯に大きく関係します。

多くの国の調査でも、男性よりも女性の方が甘いものを摂ることが多い傾向があると報告されています。仕事や家事の合間に甘味を口にすることはストレス解消の一つになりますが、これが虫歯リスクを高めるのです。

それ以外にも、女性は美容意識が高くて、歯磨きや口腔ケアに積極的であり、男性よりもマウスウォッシュやデンタルフロスを使用する人が多いのです。

つまり、女性は虫歯の原因となることを男性よりもしているが、虫歯予防も積極的に行っている、という二面性を持っているのです。

その結果、虫歯が早期発見されて、早期治療するために、統計上は虫歯が多いと見えるわけです。

医療アクセスと受診行動

歯科検診のイメージ

イギリスの研究(Donaldson, 2008)では、女性は男性に比べて歯科を定期的に受診する傾向が強く、虫歯や歯周病の治療率も高いと発表されています。これは、女性は虫歯が多いという数字の理由には、医療に対して積極的であるという要素があることを示しています。

さらに、男性は、痛くなるまで行かない、という人が今だに多く、虫歯が進行してから受診するケースが少なくないのです。

結果として、女性は虫歯経験歯数が多くても治療済み歯が多く、男性は未治療の歯が多いと結果が生まれてきます(Petersen, 2003)。

社会的役割と口の中

妊娠した女性

社会的な役割も虫歯の性差に影響していると考えられます。

多くの文化圏で女性は家庭の食生活を担っており、調理や味見など、食べ物に触れる機会が多いことも虫歯リスクの一因とされています。

また、妊娠、出産、授乳などは歯の健康に直接的な影響を与えることがあります。

妊娠中や授乳期は栄養バランスが変わり、ミネラル不足やホルモン変動によって口腔内環境が変化しやすいために、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。

歴史的な視点

古代人の歯を調べた考古学的研究でも、女性の方が虫歯が多かったことが報告されています。

ルーカス(Lukacs, 2011)は、古代の農耕社会において女性の虫歯が多かった理由として、調理や食料加工に女性が主にかかわっていたことをあげています。つまり、文化が変わっても、女性が食に関わる時間が長いことが虫歯リスクを高めてきたのです。

考察

考察のイメージ

虫歯の男女差は、複数の要因があって生まれています。女性は歯が早く萌出して、ホルモンの影響を受けやすく、食や育児といった生活習慣が虫歯リスクに影響を与えているのです。

さらに、クリニックへの受診率が高く虫歯を早期発見、早期治療する傾向があるため、統計上虫歯が多いと表れてくるのです。

それに対して、男性は虫歯の発生率自体は低い一面もありますが、虫歯があっても治療せずに放置される傾向が強く、結果として重症化しやすいのです。

つまり、虫歯が多いのは女性、重症化しやすいのは男性」 というイメージです。

結論 として

女性は思春期や妊娠、更年期など、ホルモンの影響を受けやすい時期には特に虫歯リスクが上がります。

男性は治療に対して積極的ではなく、受診を後回しにする傾向があります。

虫歯は性別を問わず防げる病気なのです。女性はリスクの高い時期を意識してケアを強化して、男性は痛くなる前に行く習慣を持つことが大切になります。

この性差を理解して、それに合わせた予防と早期治療こそが、生涯にわたって健康な歯を保つことに繋がると考えています。

コラムは ウエスト歯科クリニック玉川中央歯科クリニック で、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください。

参考文献

  1. Lukacs JR. Sex differences in dental caries experience: clinical evidence, complex etiology. Am J Hum Biol. 2011.
  2. Laine MA. Effect of pregnancy on periodontal and dental health. Ann Periodontol. 2002.
  3. Borrell LN, et al. Social factors and oral health outcomes in U.S. adults. Community Dent Oral Epidemiol. 2006.
  4. Donaldson AN, et al. Utilization of dental services and social capital in the UK. Community Dent Health. 2008.
  5. Petersen PE. The World Oral Health Report 2003. Community Dent Oral Epidemiol. 2003.
  6. Humphrey SP, Williamson RT. A review of saliva: normal composition, flow, and function. J Prosthet Dent. 2001.
  7. Yaegaki K, Coil JM. Examination, classification, and treatment of halitosis. J Can Dent Assoc. 2000.

この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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