年代別・歯周病になりやすいランキング
2026年6月30日
歯周病は、年を重ねるごとに姿を変える炎症といえます。
10代ではホルモンの影響から、20代では生活の乱れから、30代では慢性化から、40〜50代ではストレスと老化から、60代以降では全身疾患との結びつきから、そして80代ではケアの限界が影響するのです。
つまり、歯周病は、どんな年齢を生きてきたかを映し出す病気であり、人生の習慣がそのまま歯ぐきに刻まれていくのです。
ここでは、国内外の研究をもとに、年代ごとの歯周病になりやすさ、をランキング形式にしました。
第1位:40〜50代

最も歯周病が進みやすいのは、40〜50代です。
日本歯周病学会の2021年の全国調査では、この年代の約8割が中等度以上の歯周病を抱えています。
若いころからの磨き方のクセや生活習慣が、40代で歯ぐきに結果に現れるのです。
さらに、仕事、家庭、ストレス、睡眠不足、喫煙、飲酒など、炎症を悪化させる要因がすべて重なる時期でもあります。
ストレスが続くと、体内のコルチゾールが上昇して、免疫が乱れることで、炎症が治まりにくくなります(Furuta et al., 2018)。
つまり、40〜50代の歯周病は細菌の病気であると同時に、ストレスの病気でもあるといえなくもないのです。
静かに骨が溶けていく、自覚のない歯の周りの組織が崩壊する時期であり、それこそがこの年代の特徴になります。
第2位:30代

30代は、歯周病が一過性から定着へと変わる転換点になります。
仕事の忙しさや子育てで歯科受診が後回しになり、初期の出血や口臭をまだ大丈夫だろうと見過ごしてしまう時期でもあります。
しかし、この時期の小さな炎症は、放置すると深い歯周ポケットを形成して、やがて慢性化していきます。
実際、職域研究(Tani et al., 2018)では、30代後半で歯ぐきの出血を自覚する人が急増しているのです。
また、女性では妊娠や出産によるホルモンの変化が歯肉を敏感にして、炎症を悪化させることもあると、示されています(Silk et al., 2017)。
30代は歯ぐきの体力を決める時期であるといえます。
ここでケアを怠ると、40代以降の炎症リスクは一気に跳ね上がるのです。
第3位:50〜60代

50代に入ると、歯周病は歯肉の腫れを超えて骨の病気へと進む傾向が高まります。
免疫機能がゆるやかに衰えて(免疫老化)、炎症が長引きやすくなるのです。
老年歯科医学会の調査(Yamazaki et al., 2021)によれば、60代男性の約70%が歯槽骨の吸収を伴う重度の歯周炎を持つと示されています。
重度にもかかわらず、痛みがないため気づかれにくいのが特徴です。
さらに、降圧剤や抗不安薬などによる唾液減少も拍車をかけます。
唾液が減ると、歯ぐきは乾いて、細菌が増えて、炎症が再燃します。
この年代の歯周病は、老化というより慢性的な炎症のイメージです。
医科と歯科が連携して全身的に管理すべきステージに入るとお考えください。
第4位:20代

20代の歯周病は、生活の乱れが原因で起こる急性炎症型が多くなります。
夜更かし、喫煙、外食、過度な飲酒などなど、大学生活や社会人スタートの時期に起こりやすい行動パターンです。
20代後半ではすでに4割が歯ぐきの出血を経験しており(日本歯科医師会, 2019)、審美意識が高いこの年代では、ホワイトニングや研磨剤入り歯磨き剤の使用をし始めることから、これらによる歯肉のダメージもリスクに繋がります。
痛くないから大丈夫、と放置すれば、炎症は静かに根づいていくのです。
若さは治癒力を与えるが、同時に油断も生むのです。
第5位:60代後半〜70代

60代後半以降になると、歯周病は口だけでなく全身をむしばんできます。
歯周病菌が血管に入り、動脈硬化、糖尿病、認知症のリスクを高めることが、最近では明らかになっています。
特に糖尿病とは、お互いを悪化させる関係といえます(Preshaw et al., 2019)。
血糖が上がると炎症が治りにくくなり、炎症が続くと血糖がさらに上がるのです。
さらに、噛む力の低下や食の偏りが栄養不足を招いて、炎症を修復できない状態に悪化させるのです。
この世代では、歯周病=生活習慣病といっても過言では無い相関関係があります。
第6位:10代後半

10代後半の歯肉炎は、思春期のホルモン変化が大きく関係しています。
エストロゲンやテストステロンの増減によって血管が拡張して、わずかな汚れでも出血しやすくなります。
部活、夜更かし、間食などで生活が乱れやすい年代でもあり、ブラッシングの質も落ちやすい傾向にあります。
この時期の炎症は一見軽くても、将来の慢性歯周病の火種になるのです。
今のケアが、10年後の歯ぐき年齢を決めます。
第7位:80代以降

80代を超えると、歯周病は清掃を続けられないことが最大のリスクとなります。
具体的には、噛む力、唾液量、手の動きが落ち、プラークがたまりやすくなるのです。
介護施設の研究(Igarashi et al., 2020)では、要介助の高齢者の約9割に歯周炎が確認されたと、示されています。
さらに、歯周病菌が気道に入り、誤嚥性肺炎を起こすこともあるのです。
驚かれるかもしれませんが、この年代では、歯周病=命に関わる炎症と捉える必要があります。
終章として
歯ぐきは、年齢を語ります。
10代ではホルモンの波、20代では生活の乱れ、30代で慢性化し、40〜50代でストレスが重なり、60代以降で全身とつながるのです。
ただし、諦める必要はありません。
どの年代にも十分な回復のチャンスはあるのです。
唾液を保ち、清掃を続けて、ストレスを整えれば、炎症は必ず落ち着くからです。
なるべく、毎日、鏡の前で歯ぐきを見る習慣をつけてください。
少し赤い、少し腫れている、それは身体全体から発せられた、身体の不具合を知らせる小さなSOSかもしれません。
歯ぐきの変化に気づくことこそ、年齢を重ねても健康でいる第一歩になると考えています。
コラムは ウエスト歯科クリニック と 玉川中央歯科クリニック で、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください。
参考文献
- Furuta, M. et al. (2018). Community Dent Oral Epidemiol, 46(5), 484–491.
- Tani, M. et al. (2018). Journal of Occupational Health, 60(5), 411–418.
- Silk, H. et al. (2017). J Clin Periodontol, 44(3), 245–252.
- Yamazaki, K. et al. (2021). Gerodontology, 38(4), 450–459.
- Preshaw, P. M. et al. (2019). Diabetes Care, 42(12), 2211–2219.
- Igarashi, Y. et al. (2020). Community Dental Health, 37(2), 134–141.
- Japan Society of Periodontology. (2021). National Survey of Periodontal Disease in Japan.
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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