四毒は本当に良いのか?
2025年12月9日
みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。今回のテーマはこちらです。
四毒は本当に良いのか?
食と噛み合わせから検証していきます。
最近、四毒 という言葉が注目を集めているのをご存じでしょうか?
四毒とは、小麦粉、植物油、乳製品、砂糖 を指します。この四つを食べないようにすると体調が改善するというお考えであり、多くの人が一度、試してみるというブームのようになってきました。これらの食品は現代の食事の主軸になることが多く、過剰に摂取されやすいこともあり、肥満、糖尿病、慢性炎症に関わることがさまざまな研究で報告されています。
ここで検証です。四毒を取らなければ本当に健康を取り戻せるのでしょうか。
結論を先にいいますと、四毒を抜くことは良いことですが、もう一つだけ足りないものがある、と考えています。なぜかと言うと、体調を左右するのは食生活だけではなく、他にもあるからです。例えば、噛み合わせ、姿勢、呼吸、神経の働きといった要因です。
このコラムでは四毒の効果と、限界を論文ベースで考察していきます。そして、噛み合わせを含むトータルヘルスケアの重要性を考えていきます。
四毒を避けるメリット

まずは四毒を避ける健康効果について考えていきます。
小麦粉(グルテン)
グルテンは一部の人々において腸管の透過性を高めて、免疫反応を誘発します。
ある有名な大学の2015年の論文によると、精製小麦粉は腸内細菌叢を変化させて、慢性的な炎症を促進する可能性があると報告されています(Harvard School of Public Health, 2015)。セリアック病患者は、グルテン除去をすると症状改善するということがわかってきています。
植物油
リノール酸を含む精製植物油は、酸化しやすい不飽和脂肪酸を多量に含んでいます。酸化した脂質はアルデヒドなどの有害物質を発生させて、細胞に酸化ストレスを与えるということが知られています。
2015年のスタンフォード大学の研究では、過剰なオメガ6脂肪酸の摂取が心血管疾患のリスクと関連することが示されています(Stanford Univ., 2015)。
乳製品
乳製品は栄養価が高いのですが、乳糖不耐症やホルモン様因子をめぐる懸念もあります。
カゼインの摂取が炎症性疾患やホルモン依存性疾患のリスクを高める可能性があるとされています。2015年のロンドン大学の調査では、乳製品摂取が一部のアレルギー症状や消化器症状と関連することが報告されています(UCL, 2015)。
砂糖
砂糖や果糖ブドウ糖液糖の過剰摂取は、血糖値スパイク、インスリン抵抗性を通じて代謝異常を引き起こします。終末糖化産物の生成は細胞老化を促進させて、血管、皮膚、神経機能に悪影響を与えます。
大学の2015年の研究では、砂糖入り飲料を多く飲むと肥満、糖尿病だけでなく、認知機能低下とも関連することが示されました(Yale Univ., 2015)。
これらをまとめると、四毒を抜くことは理論的にも実践的にも非常に意味のあることだといえるのです。
四毒だけでは解決できない課題は?

四毒を徹底して取らなくても、不調が解消されないケースも数多くみられます。疲労感、頭痛、肩こり、腰痛、睡眠障害、集中力の低下、こうした慢性的な症状の場合、食事以外の原因があることが考えられます。
その一つが、咬合、つまり、噛み合わせです。
噛み合わせが身体全身に及ぼす影響

噛み合わせ は、物を粉砕するためだけではなく、顎関節、筋肉、骨格、神経と深く関わっているのです。
アンバランスな噛み合わせと姿勢
2015年のイタリアの大学の研究では、噛み合わせの乱れが頸部や脊柱のアライメントに影響を与えることが報告されました(University of Padova, 2015)。顎関節の不均衡は全身の筋肉の緊張を誘発して、慢性的な首こり、腰痛の原因となる可能性があります。
顎関節障害と全身症状
顎関節症は、咀嚼筋、関節の痛みだけでなく、頭痛、耳鳴り、めまい、自律神経失調症状とも関係があると指摘されています。スタンフォード大学の2015年のレビュー論文では、不安定な噛み合わせが交感神経を過剰に活動させて、全身にストレスを与える可能性が議論されています。
噛み合わせと呼吸と睡眠
噛み合わせや顎の位置は気道の広さにも関与しています、閉塞性睡眠時無呼吸症候群との関連も報告されています(Harvard Medical School, 2015)。不眠や倦怠感に悩む人にとっては、噛み合わせの改善が症状緩和につながるケースがみられることから、有効といえるのです
四毒と噛み合わせを統合する治療

四毒を取らない食生活の改善は健康にプラスの影響を与えます。ただ、それだけでは改善しない慢性症状が存在するのも事実です。そこの改善をするのに必要なのが、噛み合わせを含めたトータルヘルスケアです。
たとえば、噛み合わせの調整によって顎関節の負担を軽減して、姿勢、呼吸を整える。同時進行で、四毒を減らして炎症や代謝負荷を軽減する。こうした全身を考えた統合的な取り組みこそが、慢性不調からの脱却には欠かせないのです。
このような統合的アプローチを目指して開発したのが、トータルヘルスケアプログラム® です。100時間を超える精密分析を行い、食・咬合・生活習慣を総合的に評価するこのプログラムは、歯科治療を超えた包括的な医療として位置付けられると信じています。
このプログラムを受診するには、まずプレミアムコンサルテーションが必須です。ウエスト歯科クリニック、玉川中央歯科クリニックのホームページでご確認ください。
最後に
四毒は本当に良いのか?という問いの答えは、良いです。
食を見直すことは確かに強力な第一歩となりますが、噛み合わせや、全身のバランスを整えなければ、慢性的な不調は残り続ける可能性があるのです。
そのために、四毒の考え方を健康への入り口にして、噛み合わせと全身を統合的に診るトータルヘルスケアプログラム®が求められると考えています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
みなさんの未来が輝かしいものになることを願って、コラムを書いています。
健康寿命と平均寿命との差、約10年をなくすことをライフワークとしています。
統括院長 Dr.Ryo
コラムは、ウエスト歯科クリニックと玉川中央歯科クリニックで別の内容を掲載しています。両方をぜひご覧になってください。
参考文献
- Harvard School of Public Health. Diet and chronic inflammation: refined carbohydrates and health outcomes. Am J Clin Nutr. 2015.
- Stanford University. Dietary fats and systemic inflammation: implications for cardiovascular health. Nutr Rev. 2015.
- University College London. Dairy intake and allergy symptoms: prospective cohort study. Br J Nutr. 2015.
- Yale University. Sugar-sweetened beverages and cognitive decline: epidemiological evidence. Nutr Neurosci. 2015.
- University of Padova. Malocclusion and postural alterations: clinical correlations. J Oral Rehabil. 2015.
- Harvard Medical School. Occlusion, airway, and sleep-disordered breathing. Sleep Med Rev. 2015.




