排泄障害を歯科から読み解く
2026年4月14日

結論として、排泄の乱れは体のバランスの乱れです
排泄がうまくいかないのは、腸や膀胱の問題だけではありません。
体の中で、神経、筋肉、ホルモン、免疫といった、どこかが乱れているサインなのです。
そのバランスを整える鍵の一つが、実は、噛む力、歯の噛み合わせ、にあるのです。
意外かも知れませんが、近年の研究がそれを裏付けています。
排泄は、健康のバロメーター

排泄とは、体が不要になった老廃物を外へ出すことですが、言い換えると、食べたものを消化・吸収し、残りを便や尿として排泄するということです。
この流れがスムーズであれば、体の代謝は健やかに保たれるのですが、加齢、病気、ストレスなどによって、この機能がスムーズに働かなくなることがあるのです。
便秘、尿が近い、夜中に何度もトイレに起きる頻尿、排尿に時間がかかる、など。
これらの症状は、免疫力、血圧、睡眠の質にまで影響します。
つまり、排泄の調子の良し悪しは、体の元気さを映す鏡といえます。
便秘・頻尿・下痢
排泄障害にはいくつかのタイプがあります。
2015年のハーバード大学公衆衛生大学院の研究では、高齢者の約40%が慢性的な便秘を抱えているとされています(Harvard T.H. Chan School of Public Health, 2015)。
これらの原因としては、食物繊維や水分の不足、腸の運動の低下が考えられます。
また、便失禁や下痢など、排泄を自分でコントロールできなくなるケースがあります。
オックスフォード大学の研究(Oxford University, 2017)は、糖尿病などによる自律神経障害が腸の働きを鈍らせ、便失禁を引き起こすことを報告しています。
他には、排尿障害もあります。
スタンフォード大学の報告(Stanford Medicine, 2016)では、60歳以上の男性の約半数が排尿の不調を抱えており、前立腺肥大や膀胱機能低下が関係するといわれています。
2019年の東京大学の研究(University of Tokyo, 2019)では、睡眠時無呼吸症候群の人に夜間頻尿が多いことが示されており、睡眠と排泄の関係も徐々に明らかになってきました。
このように、排泄の問題は全身の健康状態の結果として現れるのです。
原因は、体の中のバランスの乱れ

排泄は腸や膀胱が単独で行うものではなく、神経ら筋肉、ホルモンの連携が関わってきます。
年齢を重ねると筋力が衰えて、神経の伝達も鈍くなってきて、さらに、ストレスや生活習慣病による自律神経の乱れも起きてきます。
このバランスが崩れると、腸や膀胱の収縮と弛緩のリズムが乱れて、便秘や頻尿といった症状が起こるわけです。
薬でも症状を抑えることは可能ですが、一時的な対処であり、本当の改善には、神経と筋肉を本来のリズムに戻すことが必要なのです。
歯科から見た、排泄と自律神経の関係

噛むことと、排泄機能の関係について話していきます。
2017年の東京大学とスウェーデンのカロリンスカ研究所による共同研究(Frontiers in Neuroscience, 2017)では、奥歯でしっかり噛むことが脳血流を高めて、自律神経の働きを安定させることが実験的に確認されています。
自律神経は、腸や膀胱などの、排泄をつかさどる臓器のリズムを調整しています。
つまり、噛み合わせや歯のバランスを整えると、間接的に排泄のコントロール機能が改善する可能性があると考えられます。
さらに、しっかり噛むと唾液が分泌されやすくなり、消化酵素の働きが高まるのです。
このことは、腸の蠕動運動を促し、便通の改善にもつながります。
つまり、噛むことは全身の自律神経と排泄のリズムを整えるカギといえます。
新しいアプローチ

この、物を粉砕する咀嚼と全身の連動に着目し、医学的に体系化したのが、トータルヘルスケアプログラム®です。
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その結果、脳血流の改善、自律神経の安定、免疫、排泄機能の回復など、全身にわたる健康効果が期待できると考えています。
このプログラムは日本国特許庁によりトータルヘルスケアプログラム®、TOTAL HEALTH CARE PROGRAM®、の両商標登録を取得しており、科学的裏づけと医療的信頼性を兼ね備えた独自の治療体系であると考えています。
プレミアムコンサルテーションから
プログラムを始める前に、まず受けていただくのがプレミアムコンサルテーションです。
60分かけて、生活習慣、体調、噛み合わせ、姿勢を詳しく分析して、根本原因を一緒に探っていきます。これは単なる説明の時間ではなく、排泄のリズムを取り戻し、体を整えるための第一歩となるのです。
結びに

排泄障害は、年齢や体質だけで起きるものではありません。
それは、神経、筋肉、免疫、血流のバランスが崩れた結果、おきるのです。
そして、その全身のバランスを整える糸口が、意外にも 奥歯で噛む ということなのです。
噛む力を取り戻して整えるということは、体の内側のリズムを整えて、自然な排泄の流れを取り戻すための新しい医療のアプローチだと思います。
トータルヘルスケアプログラム®は、そのための確かな道筋を示す治療法なのです。
最期まて、読んでいただきありがとうございました。
引き続き、健康に関する情報を発信していきますから、お楽しみにしてください。
ウエスト歯科クリニック(目黒区)と玉川中央歯科クリニック(世田谷区)では、それぞれ異なる切り口で本テーマを紹介しています。
両方を読むことで、より深く「体のつながり」を感じていただけるでしょう。
参考文献
- Harvard T.H. Chan School of Public Health. (2015). Prevalence and risk factors of chronic constipation in older adults.
- Oxford University. (2017). Autonomic neuropathy and fecal incontinence in diabetes patients.
- Stanford Medicine. (2016). Lower urinary tract symptoms and aging in men: A population study.
- University of Tokyo. (2019). Sleep apnea and nocturia: Neural mechanisms.
- University of Tokyo & Karolinska Institute. (2017). Mastication-induced cerebral blood flow increase and autonomic regulation. Frontiers in Neuroscience.
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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