口臭の治し方は?
2026年7月17日
口臭は、においの問題ではなく、口の中や体全体の健康状態を映し出しているのです。舌や歯ぐきの汚れ、唾液の減少、ストレス、姿勢、呼吸、免疫や代謝の低下など、さまざまな要因から引き起こされる症状なのです。
つまり、口臭の根本原因は口の中だけにあるのではなく、全身のバランスの乱れから起こるものなのです。そのため、においを一時的に抑えることに集中するのではなく、体全体の機能を根本的に整えることが、本質的な改善につながるのです。
口臭の正体 とは?

口臭の最大の原因は、舌の表面に付着する白い汚れである舌苔です。
舌苔に住みつく細菌は、口の中のたんぱく質を分解して硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物を発生させます。これらが、臭いの主原因のもとになります(Rosenberg, 1995)。
次に、歯周病も強い口臭の原因になります。歯ぐきの歯周ポケットに嫌気性菌が増えると、炎症や膿を起こり、特有の強い臭気を放つようになります。さらに、唾液の減少も臭いを悪化させていきます。
唾液には口の中を洗い流す働きがありますが、その分泌が減ると臭気物質がたまりやすくなるのです。それだけでなく、唾液の減少はストレスや加齢、薬の副作用などにも関係しており、全身の状態とも深く結びついているのです。
例えば、糖尿病、副鼻腔炎、胃腸障害といった全身疾患でも口臭が起こることがあるのです。つまり、口臭は単なる口の汚れではなく、身体のどこかに不調があることを知らせるサインと考えられるのです。
セルフケア

口臭を防ぐためには、舌の清掃です。舌ブラシやスクレーパーを使い、汚れを取り除きます。強くこすりすぎると粘膜を傷つけてしまいますから、優しく行うことが大切です。
次に、歯と歯ぐきの清掃です。歯ブラシだけでは全体の汚れの約4割が残るとされており(Löe, 1967)、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、臭いの原因となるプラークを効果的に減らすことができます。最近は歯ブラシの性能があがっていますから以前よりも磨き残しは少ないとはいえ、歯間ブラシなどの、補助的な清掃道具の使用はしておいた方がいいと思います。
また、洗口剤を使うのも有効といわれています。クロルヘキシジンやセチルピリジニウムクロリド(CPC)を含む洗口剤は、口臭の発生を抑える効果がありますが、長期間にわたる使用は常在菌のバランスを乱す可能性が高いため、必要な期間だけにとどめるのもポイントです。
歯科での専門的ケア

セルフケアで改善が見られない場合は、歯科医院での専門的治療が必要となります。歯周病治療では、歯ぐきの奥にたまった歯石や細菌を除去することで、炎症を抑えて口臭を大幅に改善させます(Persson et al., 1990)。
また、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)によって、歯や舌、義歯などの表面に付着した細菌膜を徹底的に取り除くこともできます。これにより、家庭でのケアでは落としきれない汚れや細菌を清掃して、臭いの発生源を根本から減らすことが可能になります。
生活習慣を整える

唾液は、体が自然に持つ天然の口臭予防液のようなものです。こまめな水分補給を心がけて、よく噛んで食べる習慣を持つことで唾液の分泌が促進されるのです。特にキシリトールガムは咀嚼することにより、唾液を増やすと同時に虫歯予防にも役立つといわれています。
食生活の乱れは、口臭を悪化させます。にんにくなどの臭いの強い食品を避けるだけでなく、糖質や脂質に偏った食事を控えて、タンパク質や食物繊維をしっかりとること、さらに、硬い食べ物をなるべく選んで食べることも唾液腺の刺激を促進させるために重要となります。
ストレスや睡眠不足も大きな要因となります。これらは自律神経のバランスを乱して、唾液の分泌を減少させます。十分な睡眠とリラックスできる時間を確保することが、実は最も基本的で効果的な口臭予防につながると考えています。
根本的な改善

医療法人社団聖和厚生会が提供するトータルヘルスケアプログラム®は、口臭を口の問題としてではなく、体全体のバランスの乱れとして捉える包括的なプログラムです。
このプログラムでは、噛み合わせ、姿勢、呼吸、筋肉の動きを精密に分析し、最大100時間をかけて全身の機能を整えます。噛み合わせが整うと神経や筋肉の緊張が緩和し、唾液分泌が自然に増えます。唾液には抗菌・自浄・緩衝作用があり、揮発性硫黄化合物の発生を抑える働きがあります。つまり、体の機能を整えることで、口臭が根本から改善していくのです。
従来のにおいを消すだけの対症療法ではなく、においが生まれにくい体をつくることを目的としたこのプログラムは、慢性的な口臭やストレス性の口臭に悩む人にとって、新しい解決の道となると思います。
まとめとして
口臭を治すためには、単に舌を磨いたり洗口剤を使ったりするだけでは十分ではありません。口の中の清掃、歯周病治療、生活習慣の改善、ストレス管理、噛み合わせを整える全身的なアプローチ――このすべてを組み合わせることが、真の改善への近道と言えると思います。
「トータルヘルスケアプログラム®」のように、身体の機能そのものを整える、新しいアプローチを取り入れることで、体の内側から清潔で自然な息を取り戻すことができるのです。
コラムは ウエスト歯科クリニック と 玉川中央歯科クリニック で、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください。
参考文献
- Tonzetich J. Production and origin of oral malodor. J Periodontol. 1977.
- Yaegaki K, Coil JM. Classification and treatment of halitosis. J Can Dent Assoc. 2000.
- Rosenberg M. Clinical assessment of bad breath. J Am Dent Assoc. 1995.
- Persson S, et al. Effect of periodontal therapy on volatile sulfur compounds. J Clin Periodontol, Univ. of Gothenburg, 1990.
- Löe H. The gingival index. J Periodontol. 1967.
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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